第三者検証とは?必要性から社外の「第三者」に依頼するメリット・ポイントまでを解説
目次[非表示]
- 1.第三者検証とは
- 2.ソフトウェア開発における第三者検証の必要性
- 2.1.欠陥発覚時の経済的損失
- 2.2.欠陥修正のための時間浪費
- 2.3.不具合発生に伴う信用の低下
- 2.4.障害や死亡事故の防止
- 3.第三者検証を社内・社外で行うメリット
- 3.1.社内で第三者検証を行うメリット
- 3.1.1.①愛着あるコンテンツに対して綿密なテストが見込める
- 3.1.2.②テストに関するノウハウを社内に蓄積できる
- 3.1.3.③テストチームに社風・文化を共有しやすい
- 3.2.第三者検証を社外に依頼するメリット
- 3.2.1.①専門的な知見・ノウハウのもとでテストしてもらえる
- 3.2.2.②自社のリソースを割かずに済む
- 3.2.3.③開発者が見逃しがちな不具合を発見しやすくなる
- 3.2.4.④変動費化でき固定費の削減につながる
- 4.第三者検証の外注先企業を選ぶポイント
- 5.まとめ
第三者検証とは
第三者検証とは、システム・ソフトウェアのテスト段階において、開発に携わっていないエンジニアが第三者の視点・観点から、品質検証や評価を行うことです。
開発に携わっていない人間がシステム・ソフトウェアの検証をすることは、非常に重要です。開発を担当している立場では、開発を進めているうちに不具合や欠陥に気付きにくくなるためです。
専門的な知識や技術を持ったテストのスペシャリストによる客観的視点を取り入れることで、開発者では見落としがちな事象を効率的に検出できます。
システム・ソフトウェアのテスト(例:総合テストや受入テストなど)は、コストや納期を考慮して削減されたり、ノウハウが不十分なままで行われたりすることも珍しくありません。
検証・テストの部分を第三者に依頼し、開発者は専門分野に専念することで、開発におけるQCD(品質・コスト・納期)の改善・向上が期待できます。
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ソフトウェア開発における第三者検証の必要性
本章では、ソフトウェア開発シーンにおいて第三者検証を取り入れる必要性について、特に代表的な4つのトピックをピックアップして、順番に解説します。
欠陥発覚時の経済的損失
開発したソフトウェアのリリース後に欠陥が発覚すれば、製品の改修費用やクレーム対応、発覚した不具合の修正、再テストなど、非常に大きなコスト(損失)が発生します。
近年では、システムの誤作動によって西暦2000年であることが正常に認識されず、99年までしかカウントできない「2000年問題」による経済的損失が、大きな話題となりました。
※2000年問題:Y2K問題、ミレニアム・バグとも呼ばれ、西暦(グレゴリオ暦)2000年になるとコンピュータが誤作動する可能性があるとされた年問題。
ソフトウェアを使用したユーザーが損失を被ると、損害賠償を請求されてしまうリスクもあります。
欠陥修正のための時間浪費
上記で取り上げた経済的損失は、そのまま時間コストとして捉えることも可能です。
欠陥修正のための時間の浪費は、機会損失にもつながります。特定の欠陥を修正するために費やした時間は、本来は別の作業(例:新たなプロジェクトの開発)のために費やすべき時間であったと考えられるからです。
欠陥の修正作業に時間が掛かり、次のプロジェクトに遅れが生じてしまえば、機会損失につながるでしょう。
不具合発生に伴う信用の低下
昨今、SNSの普及を受けて、製品の品質に対するユーザーの意見が急速に拡散されるようになっています。そのため、一度でもソフトウェアに不具合が出てしまえば、多くのユーザーから製品の品質が低いと判断されてしまう恐れがあります。
そうなれば、企業のイメージ低下や、他社製品との競争力低下などにつながります。この影響は非常に深刻で、企業のブランドイメージ自体が低下するだけでなく、最悪の場合にはサービスの完全停止に追い込まれてしまうこともあります。
障害や死亡事故の防止
ソフトウェアの欠陥が大規模なシステム障害や死亡事故に発展するリスクも、ゼロではありません。
例えば、自動車の制御システムや医療機器のシステムなどで欠陥が発覚すると、命にかかわる大事故につながりかねません。電力の送電システムで欠陥が発覚すれば、広域停電が発生するおそれもあります。
こうした重大な障害を未然に防ぐためにも、第三者検証の実施は必要不可欠です。
第三者検証を社内・社外で行うメリット
概要と必要性を確認したところで、次は第三者検証を取り入れるメリットについて取り上げます。
第三者検証は、社外に依頼して実施してもらうだけでなく、社内にチームを組成して行うことも可能です。本章では、第三者検証を行うメリットを「社内で行うケース」と「社外に依頼するケース」に分けて、順番に解説します。
社内で第三者検証を行うメリット
まずは、社内にチームを組成し、そこに第三者検証を行わせるメリットとして考えられるものの中から、代表的な3つの内容をピックアップし、順番に解説します。
①愛着あるコンテンツに対して綿密なテストが見込める
一般的には、外部のテスト・検証会社よりも社内の担当チームの方が、自社のコンテンツに対して愛着をもちやすいです。
例えば、ECサイトの第三者検証であれば、社内担当者は「自社の顧客が満足するような優れたUIデザインになっているか?」「不十分なセキュリティ対策で、自社の顧客に不利益が及ぶ事態にならないか?」という視点を踏まえて、綿密なテストを実施できます。
「スマートフォンファーストの設計で、よりシンプルなデザインにした方がよい」「より強固なセキュリティ対策を導入すべき」といった、ECサイトのクオリティを高めるためのヒントを得ることにもつながるでしょう。
②テストに関するノウハウを社内に蓄積できる
第三者検証を内製化することで、テストのノウハウを社内に蓄積できるのも魅力です。
蓄積できるノウハウには、第三者検証そのものに限らず、開発チームと良好な関係性を築いていくうえで大切な心構えなど、プロジェクトをよりスムーズに進めるためのノウハウも含まれます。
③テストチームに社風・文化を共有しやすい
企業には、一社一社それぞれ異なる社風・文化があります。
社内チームに第三者検証を任せる方が、外部に依頼する場合と比べて自社の風土・文化を共有しやすく、検証のプロセスをスムーズに進められる可能性が高いです。こうした観点からも、社内にチームを組成し第三者検証を行うメリットがあります。
第三者検証を社外に依頼するメリット
続いて、第三者検証を社外に依頼し実施してもらうメリットについて、順番に解説します。
①専門的な知見・ノウハウのもとでテストしてもらえる
社外の専門会社に第三者検証を依頼すると、専門的な知見やノウハウのもとで、クオリティの高いテストを実施してもらえます。
ソフトウェアテストのノウハウが蓄積していない企業では見つけられないバグや不具合であっても、第三者の専門会社であれば発見してくれる可能性があります。
②自社のリソースを割かずに済む
社外に第三者検証を依頼することで、自社ではテスト用のリソースを割かずに済みます。テスト要員を常時常駐させておく必要もありません。
社外のメンバーに任せることで、開発チームはプログラミングやドキュメント作成など、本来の開発業務に専念できるようになります。テストと開発を完全に切り分けることで、第三者検証で用いていた人的資源を開発業務に専念させられます。
③開発者が見逃しがちな不具合を発見しやすくなる
社外で第三者検証を行うと、自社の開発担当者では見逃しやすい不具合の発見率を高められます。
一般的に、自社の間違いは自社では気づきにくい傾向があります。「しっかり動くはず」「しっかり動いてほしい」という思い込みが働くためです。
一方、社外の専門会社に第三者検証を依頼すれば、ソフトウェアに対する先入観なく、フラットかつ客観的にテストを実施できます。よりユーザーに近い視点でテストでき、使い勝手の良さや安全性・利便性などの観点からも評価してもらえます。
④変動費化でき固定費の削減につながる
自社でテスト要員を確保しておくと、第三者検証を実施しないときでも、固定費として人件費が常に発生してしまうことになります。
一方、社外に第三者検証を依頼するケースでは、自社でテスト要員を確保しておく必要がありません。テストを実施するときだけ外部の専門会社に任せれば、テストにかかるコストを変動費として処理でき、コスト削減につながります。
第三者検証の外注先企業を選ぶポイント
近年、第三者検証サービスを提供するベンダーが増加しており、第三者検証サービスの選び方が重要になっています。
最後に、第三者検証の外注先企業を選ぶポイントについて、開発モデル・開発フェーズごとに分けて解説します。
ウォーターフォール開発かつ上流工程におけるポイント
ウォーターフォール開発の上流工程から外部の検証会社を参画させると、設計にテストの視点を盛り込めて、手戻りのリスクを大幅に軽減できます。より品質の高い第三者検証を目指す場合、以下をポイントに企業選びをしましょう。
- ISTQBパートナーシップがグローバルパートナー以上である
- 国際規格(ISO/IEC)の検証品質をもっている
JSTQBはソフトウェアテスト技術者資格認定における日本の運営組織であり、国際的なISTQBに認定されています。テスト技術者が所属する企業にはパートナープログラムが用意されており、認定ポイントによって4つのレベル(シルバー・ゴールド・プラチナ・グローバル)が付与されます。最高位のグローバルパートナー認定を獲得している企業であれば、高品質の第三者検証が行えます。
また、検証品質の国際規格である「SQuaRE」「ISO/IEC 29119」のいずれかを取得している企業も、検証の信頼性が高いです。
ウォーターフォール開発かつ下流工程におけるポイント
ウォーターフォール開発の下流工程では、上流工程の遅れによる対応で期間が限られ、テストリソースが十分に確保できないという課題を抱えているケースが多いです。こうしたケースで外部の検証会社に参画してもらうと、短納期でも品質の担保が期待できます。
上記のメリットを享受するには、緊急性の高い検証にも対応できる会社を選ぶことが大切です。具体的には、以下をポイントに企業選びをしましょう。
- 所属しているテスター数が多い
- 従量課金制である
検証会社の対応力を見極めるには、所属するテスター数を確認することが大切です。テスター数が多ければ、大規模な検証が行えるだけでなく、さまざまなテストケースにも柔軟に対応できます。
アジャイル開発におけるポイント
アジャイル開発では、第三者検証にあたって開発の方向性や粒度のブレを抑制できる知見を有する企業を選ぶことが大切です。具体的には、以下をポイントに企業選びをしましょう。
- アジャイル開発支援実績がある
- プロジェクト管理支援に対応している
小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていくアジャイル開発において、経験・ノウハウが不足する会社に第三者検証を依頼すると、開発スピードが落ちてしまいます。そのため、実績数や検証内容を確認したうえで依頼しましょう。
アジャイル開発に関する知見・人材の不足によって開発がうまく進まないという企業では、テストを含めた全体を支援できる専門会社に依頼すれば、第三者検証の円滑な進行だけでなく、社内の開発レベル向上にもつながるでしょう。
まとめ
第三者検証を社内で行う場合、コンテンツに愛着があるスタッフによる綿密なテストが見込めたり、テストのノウハウを社内に蓄積できたりする点がメリットです。
社外に第三者検証を依頼すると、専門的な知見・ノウハウを活用できるほか、自社のリソースを割かずに済みます。
近年は第三者検証サービスを提供するベンダーが増加しており、適切なテストを行うためには依頼先選びが重要です。ご紹介した企業選びのポイントを十分に理解し、実績のある会社に第三者検証を依頼しましょう。
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