オフショア開発企業の選び方とは?発注成功ポイントやシステム開発における悩み別おすすめの開発国
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オフショア開発とは
オフショアは、業界やビジネスによって意味が若干異なる言葉です。本記事がテーマとするオフショア開発は、主にIT業界において、システムやソフトウェア、アプリケーションなどの開発拠点を自国外の国や地域に置くことを意味します。
近年、IT人材不足や開発コスト削減などの影響を受けて、日本企業におけるオフショア開発の市場は拡大傾向にあります。
▼オフショア開発についての詳細は以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。→【2022年最新版】IT業界のオフショア開発とは
企業の「システム開発における悩み」別オフショア開発の利点
システム開発を進めるにあたってはさまざまな悩みがありますが、オフショア開発によってその悩みを解決できる場合があります。
本章では、システム開発における代表的な悩みと、それを解決する手段としてのオフショア開発の利点を解説します。
開発力を向上させたい
企業がイノベーションや長期的な存続を実現させるうえで、優れた開発力の確保は欠かせません。オフショア開発で外注すれば、優秀なIT人材を確保できます。
オフショア開発では、長期的に自社専属のエンジニアを抱えられる「ラボ型開発」という手法もあります。自社に開発のノウハウを蓄積しやすいため、企業の開発力向上が期待できます。
オフショア開発の活用により開発力を向上させれば、これまで自社が対応できていなかった開発にもチャレンジできるようになり、業務の幅を広げられるでしょう。
信頼できる開発チームに丸ごと任せたい
一般的なシステム開発の外注では、プロジェクト完了後にメンバーが解散になるケースが多いです。そのため、開発に関するノウハウが自社に蓄積されません。外注では短期的なコストメリットは期待できますが、人材や経験の定着が図りにくいのはデメリットです。
オフショア開発で外注する場合、案件単位ではなく仕事量に応じて契約を締結するのが基本です。そのため、契約期間が終わるまでの間、自社の人材と同じように仕事を依頼できます。
オフショア開発を活用すれば、海外の優秀なエンジニアをまとめて確保できるため、人手不足を解消するうえでは非常に効率的です。人手不足の解消により、開発プロジェクトをスムーズに進められるようになるでしょう。
社内技術者がいない/自社でエンジニア採用が難しい
日本企業の多くは、IT技術の急速な発展や少子高齢化社会などの影響により、IT人材不足に悩まされています。経済産業省の資料によれば、2030年までにIT人材が45万人不足すると推測されています。
日本で大きな注目を集めているAI関連の開発についても、ニーズが高まっている一方で、日本国内で対応できる人材は少ないです。
これに対して、IT技術が発達している海外諸国では、AI関連の開発にも精通するエンジニアが多いです。日本以上にIT人材の育成に注力している国も、少なくありません。国民に対して幼少期からITに関する教育を提供する国も多くあり、優秀な人材が育ちやすい国も多いです。
企業内や国内で人材が見つからない場合は、オフショア開発を通じて海外のIT人材に目を向けることで、優秀な技術者を確保しやすくなるでしょう。
将来的に海外に進出したい
オフショア開発を通じて海外に開発拠点を置くことで、開発そのものだけでなく、海外の情報を収集できるようになります。自社での開発に慣れた海外エンジニアとともに成果物の海外語バージョンを制作したり、海外向けにローカライズして現地マーケットでテストをおこなったりすることも可能です。
日本は超高齢化の影響で消費が停滞傾向にあり、GDP推移もほとんど横ばいのため、売上拡大が目指しにくい状況にあります。
マーケット開拓先として知名度の高いベトナムなどの国でオフショア開発をすることで、海外進出の足がかりにできます。
失敗しないオフショア開発企業の選び方は?発注成功の比較ポイントを解説
オフショア開発を成功させるうえでポイントとなるのは、外注の委託先となる開発企業選びです。オフショア開発企業を選ぶ際は、以下のポイントを把握することが大切です。
- 委託を検討しているオフショア開発国の取り扱いがあるか
- オフショア開発の実績数は豊富か
- オフショア開発歴が長いか
- 委託したい開発案件と類似した実績はあるか
- 開発人員の体制に問題はないか
- 開発の契約形態はなにか
- 最低契約日数はどれくらいか
- 開発情報の管理のための品質管理は信頼できるものか
- トラブルが発生した場合の対処法として、どのようなものが準備されているか
- 海外の技術者・エンジニアの日本語レベル・コミュニケーション力
- 費用の支払いはどのようにすればよいのか
- ドキュメントの日本語翻訳はおこなえるか
- 時差の影響を踏まえ、連絡手段にはなにが想定されているか
- どのようなサポート体制が構築されているかなど
オフショア開発は日本国内での開発と比べて、言語・時差・文化・ビジネスの習慣などの違いがあるため、難しさを感じやすいです。こういった課題を乗り越えてオフショア開発を成功させるためには、開発企業のサポート体制や信頼性などをチェックする必要があります。
サポート体制や信頼性は、会社のHPのみでは判断できない部分もあります。気になる開発企業があれば、直接会社を訪問し話を聞くことをおすすめします。
成功の秘訣はオフショア開発国選び!?ーオフショア開発国6つの特徴と注意点ー
オフショア開発を成功させるためには、オフショア開発国選びも重要です。本章では、オフショア開発先として代表的な6つ国の特徴と注意点を解説します。
ベトナム
ベトナムは、東南アジアでも特に人気の高いオフショア開発国です。主に以下のような理由から、人気を集めています。
- 真面目で勤勉な国民性で知られ、親日派の人が多い
- 人件費が安い
- 優秀なIT人材が豊富
ベトナムでは国単位でIT人材の育成に力を注いでおり、オフショア開発で優れた能力を発揮する技術者を数多く育てています。日本語や英語の習得に積極的な人が多く、他のオフショア開発国と比べてコミュニケーションがスムーズに取りやすい点も魅力です。
日本とベトナムとの間でオフショア開発が実施されるようになってからは、まだ期間が短いです。言語・時差・文化・ビジネスの習慣などについて、お互い十分に理解できるよう、努めることが大切です。
▼ベトナムオフショア開発は、こちらを参考にしてみてください。
フィリピン
フィリピンは、時差の影響が比較的少なく、人件費を抑えられるのが魅力です。日本側と並行し開発を進めたい場合、オフショア開発国の有力な選択肢となります。
英語が堪能な人材が多いため、英語を中心とするコミュニケーションを望む企業にも適しています。
ただし、日本語を扱える人材が少ないため、日本語によるやり取りに問題が発生しやすいです。治安や政情が不安定なため、開発状況については頻繁に進捗を確認する必要があります。
インド
インドは、高い技術力を持つIT人材が豊富です。背景には、オフショア開発に力を入れてきた歴史や、国全体の人口が多いことなどがあります。欧米企業を相手とする大型の開発案件や業務システムの開発案件を数多くこなしてきた経験があり、他のオフショア開発国と比べても、開発で対応可能な領域が広い傾向にあります。
ただし、インドの人件費は、近年上昇傾向にあります。プログラマーの人件費は中国・フィリピンに次いで高いため、注意が必要です。
バングラデシュ
バングラデシュは、国全体で急激にIT分野が発展しており、優秀な人材が多く育っている国です。人件費は、非常に安いです。
公用語はベンガル語で、高い日本語力を持つエンジニアはそれほど多くありません。小学校から英語学習に注力しており、エンジニアの多くは英会話を得意としています。
ミャンマー
ミャンマーはオフショア開発国のなかでも、プログラマーやシニアエンジニア、ブリッジSEなどの人件費が特に安いです。ただし開発経験・技術面・設備面では、他のオフショア開発国に劣る部分が見られます。国民性が穏やかで、コミュニケーションを取りやすいです。
中国
中国は日本との関係が深く、オフショア開発における付き合いも長いです。十分なITインフラが整備されており、世界でもトップクラスの技術力をもっています。ただし、インドと同様、人件費は上昇傾向にあります。
企業の目的別おすすめのオフショア開発国
各オフショア開発国の特徴を踏まえて、本章では企業の目的別におすすめできるオフショア開発国を紹介します。
費用を安く抑えたい企業におすすめのオフショア開発国
人件費をできるだけ安く抑えてコストメリットを得たい企業には、以下の国をおすすめします。下表に、プログラマーの人月単価が安い順におすすめのオフショア開発国をまとめました。(2022年時点のデータ参考:オフショア開発白書(2022年版)https://offshore-kaihatsu.com/offshore_hakusho_2022/)
オフショア開発国 |
プログラマーの人月単価 |
ミャンマー |
24.47万円 |
バングラデシュ |
29.64万円 |
ベトナム |
31.73万円 |
インド |
34.72万円 |
フィリピン |
36.25万円 |
中国 |
42.09万円 |
人件費をとくに抑えられるのは、ミャンマーとバングラデシュです。近年、これらの国では優秀なエンジニアが増えつつあり、今後に期待が集まっています。
ただし、どちらもインフラが十分に整備されていないため、通信の不安定さや停電などに注意が必要です。この点を踏まえると、比較的人件費を抑えつつ、安定的にオフショア開発を進められる国は、ベトナムやインドだといえます。
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高度な技術を求める企業におすすめのオフショア開発国
なるべく高度な技術を求める場合には、インドや中国などがおすすめです。
インドはIT大国として世界的に注目されており、近年インドは工科系の大学を徐々に増やしていることもあり、欧米を中心に信頼を得ています。インドと同様に、中国も優秀なIT人材を多く排出しています。中国は日本を相手とするオフショア開発の実績が豊富で、日本語でのコミュニケーションが期待できるという点でも魅力的です。
ただしいずれの国も、人件費は比較的高めです。とくに中国は、他のオフショア開発国に比べて大幅に人件費が高騰しているため、コストメリットを狙う場合には注意が必要です。
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まとめ
オフショア開発企業を選ぶ際は、開発企業のサポート体制や信頼性などをチェックしましょう。
オフショア開発を成功させるためには、オフショア開発国選びも欠かせないポイントです。開発を依頼したい国との言語・時差・文化・ビジネスの習慣などの特徴と、日本との違いをしっかりと確認しましょう。
一般的な傾向としては、人件費をできるだけ安く抑えてコストメリットを得たい場合は「ミャンマー」「バングラデシュ」「ベトナム」を、なるべく高度な技術を求める場合は「インド」「中国」などを選ぶのがおすすめです。
「オフショア開発による外注を検討しているものの、成功させられるか不安がある」という場合は、リリース後の保守なども含めて上流工程から任せられる、実績の多い会社に一度相談してみるとよいでしょう。
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