スクラッチ開発とは?必要な理由やメリット・デメリットを分かりやすく解説
目次[非表示]
- 1.スクラッチ開発とは
- 1.1.スクラッチ開発とフルスクラッチ開発の違い
- 1.2.ひな形を使用せず1からシステムを開発すること
- 1.3.パッケージ開発との違い
- 1.4.スクラッチ開発の著作権について
- 2.スクラッチ開発が必要な理由
- 3.スクラッチ開発の5つのメリット
- 3.1.業種に合わせて理想のシステムを構築することができる
- 3.2.必要なものだけを盛り込むことができて無駄がない
- 3.3.将来を見通して拡張性やカスタムを確保しやすい
- 3.4.業務に沿った機能要件を最適化しやすい
- 3.5.他社のシステムと比べて差別化が計れる
- 4.スクラッチ開発の3つのデメリット
- 4.1.コスト(初期費用)が高額になる
- 4.2.開発期間が長くなってしまう
- 4.3.開発ベンダーによってクオリティが変わる
- 5.スクラッチ開発の基本的な進め方
- 5.1.要件定義:方向性の策定
- 5.2.設計:機能を考えて整合性の調整
- 5.3.開発:進捗を管理しながら進める
- 5.4.テスト:機能ごとに正常に動くかのチェック
- 5.5.運用:実際に現場で使用して間違いがないかの確認
- 6.スクラッチ開発に向いている開発
- 6.1.納期と予算に余裕がある
- 6.2.業務フローがシステムによって変更できない
- 6.3.定期的にシステムの改修が必要になる
- 7.まとめ
スクラッチ開発とは
システム開発を行う際、どのような開発手法を選べばよいのか迷ってしまう方は多いでしょう。そこで、まずはスクラッチ開発の特徴をはじめ、ほかの開発方法との違いを解説します。
スクラッチ開発とフルスクラッチ開発の違い
スクラッチ開発とは、オリジナルのシステムをゼロから作り上げる開発の手法です。さらに、テンプレートやフレームワークなどの開発ツールを一切使わず開発する手法を「フルスクラッチ開発」といいます。フルスクラッチ開発はプログラム言語の最初から用意されている関数等を使って成果物を構築していきます。
簡単に、下記のように呼び分けます。
- スクラッチ開発:CakePHPやlaravelなど既存のテンプレートやフレームワークを利用したもの。
- フルスクラッチ開発:フレームワークやテンプレートを一切使わず、JavaやPHPなどの言語で完全にゼロから作るもの、大規模サイトで主に採用される。
ひな形を使用せず1からシステムを開発すること
スクラッチ開発は、既存パッケージやプログラムなどのひな型を使用せず、オリジナルのシステムをゼロから開発する手法です。一般的に、フルスクラッチに包括された意味として使われることもあります。パッケージでは実装できない特殊要件や現行の基幹システムへ機能追加(統合)実施の際にパッケージの制約によってカスタマイズができないなど、独自性の強い業務システムを開発する際に利用される開発手法です。
パッケージ開発との違い
パッケージ開発は、既存のシステムを使ってカスタマイズを行い、開発する手法です。一般的に、スクラッチ開発とは対の意味で使われます。パッケージ開発は、スクラッチ開発よりも費用がかからず短期間で開発できるというメリットがありますが、オリジナリティのあるシステム開発に対応しにくいというデメリットもあります。
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スクラッチ開発の著作権について
通常のシステム開発は、委託側のユーザー企業と受託側のシステム会社が存在します。著作権とは「成果物を作成した人(あるいは組織)に帰属する権利」です。
例えば、成果物であるECサイトやシステムの著作権はどちらにあるのでしょうか。
当然、開発されたシステムは依頼主の方針や戦略に則って生まれたので、依頼主側にあると主張したいところですが、スクラッチ開発の成果物は、著作権法上ではシステム開発会社に著作権があることが定められています。ただし、契約書をかわす際に「著作権の帰属」に関する条文を入れれば、著作権をシステム開発会社からユーザー企業へ移転させることも可能です。
スクラッチ開発が必要な理由
低コスト短期間で開発できるパッケージ開発がありながら、スクラッチ開発が必要とされる理由は以下のとおりです。
パッケージ開発では実現できないことを組み込める
ゼロから開発を行うスクラッチ開発は、ベースとなるパッケージソフトの制限を受けることなく、自由に必要な機能・動作を組み込める点がメリットです。ライセンス料を気にする必要もありません。
カスタム費用など無駄なコストが高くなりやすい
スクラッチ開発は、システム開発の方向性を柔軟に決定できるだけではなく、必要最低限の機能のみの実装が可能です。パッケージ開発では、カスタムを行えば行うほど費用が高くなりやすい傾向があります。あまり改変する部分が大きいと、完成品のパッケージにバグが発生する恐れもあります。必要最低限の機能で済むため、コストや工数を削減でき、効率的な開発が叶います。
パッケージはBPRが必要となる
BPRとは、Business Process Re-engineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の略で、「業務改革」とも訳され、業務の流れを最適化するべく再構築するという意味です。
パッケージで開発を行うと、実際の業務とのギャップを埋めるためにBPRが必要です。つまり、安価でも使いづらいパッケージソフトを導入してしまうと、そのしわ寄せが大きくなます。最初から独自性の高い開発が行える、機能拡張しやすいなどの理由からBPRの負担が少ないスクラッチ開発を選ぶ企業も多い傾向があります。
スクラッチ開発の5つのメリット
スクラッチ開発には、以下のように多くのメリットがあります。
業種に合わせて理想のシステムを構築することができる
ゼロからシステム開発を行うため、業種に合わせて業務フローにフィットした理想のシステム構築が可能です。他社と差別化を図る必要がある場合は、最適の方法と言えるでしょう。
必要なものだけを盛り込むことができて無駄がない
スクラッチ開発なら、無駄な機能を搭載する必要がありません。パッケージ開発に比べてスリム化されるため、操作性のしやすさなどを考慮しやすい点はメリットと言えるでしょう。不必要な機能にかけるコストを削ることもでき、コストを抑えることができます。
将来を見通して拡張性やカスタムを確保しやすい
パッケージ開発は、ベースのパッケージやツールのサポート終了に伴い、システム自体が使えなくなるリスクがあります。その場合、1からシステムを作り直す必要があり、費用も時間も無駄にかかってしまいます。将来を見越し、長期的に使い続けたい場合はスクラッチ開発がおすすめです。スクラッチ開発は、長期にわたって運用できるだけではなく、将来的に必要になるであろう工程を見越してカスタムしていくこともできます。
業務に沿った機能要件を最適化しやすい
スクラッチ開発なら無駄な機能を搭載する必要がないため、業務工数の削減など業務に沿った機能要件を最適化することが可能です。全体の見える化や効率の良さの改善を目指して、システム開発が行えます。
他社のシステムと比べて差別化が計れる
システム開発の場合は、ベースとなっているものが同じなので、どうしても他社と似たようなものになってしまいます。スクラッチ開発は、他社にはない独自のシステムを組むことが可能です。スピードやクオリティ面で差別化を図りたい場合にもおすすめです。
スクラッチ開発の3つのデメリット
スクラッチ開発は、多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
スクラッチ開発の場合、設計から開発、テストまで自社で行わなければならないため、開発に携わるエンジニアには相応の知識と技術が求められます。
コスト(初期費用)が高額になる
オリジナルのシステムをゼロから作り上げること、相当の人員と年月を要することなどが理由で、初期費用が高額になってしまうという点がデメリットです。ただし、無駄な機能を搭載することがなく、ライセンス料やカスタム費用などもかからないことから、長期的に見ると安くなるケースもあります。
開発期間が長くなってしまう
何もない状態からシステムを作り上げるため、パッケージ開発と比べるとどうしても開発期間が長くなってしまいます。内容にもよりますが、最低でも1年程度、通常は2〜3年程度の長い開発期間を要すると言われています。
開発ベンダーによってクオリティが変わる
同じ要件であっても、開発を担当する技術者やシステム開発会社の力量でクオリティが変わってしまう点もデメリットです。業者選定が難しく、選定ミスによるトラブルやリスクも覚悟しておかなければなりません。
また、スクラッチ開発では計画通りに開発が進まず失敗するケースが散見されます。特に開発段階で仕様変更を行い手戻りが発生すると、開発期間の膨張や実装が複雑になるといった問題が発生してしまいます。
スクラッチ開発の基本的な進め方
スクラッチ開発を選択した場合は、基本的に以下のような流れで進めていきます。
要件定義:方向性の策定
要件定義によって、どのようなシステムを開発していきたいのかなど、方向性の策定を行っていきます。具体的には、開発するシステムに必要な機能や技術を洗い出し、見える化していく工程です。成否を左右する重要な工程なので、おろそかにすると無駄なコストを生み、不要な機能を搭載してしまうなど今後の作業に大きく影響します。
設計:機能を考えて整合性の調整
基本設計とは、要件定義で決めた内容の実現を目指し、システムに搭載する機能や言語を決定する工程です。機能ごとに無駄はないか、どのような言語を用いるのかなどを決定していきます。発注者が直接開発に関わる最後の工程のため、発注・開発サイドの認識のズレがないように行うのがポイントです。
開発:進捗を管理しながら進める
設計で決定した設計書を元に、プログラミング・実装していく工程です。プログラム開発は一ヶ所で遅れが出ると連鎖的に作業が止まることが多いので、進捗の管理も必要になります。
テスト:機能ごとに正常に動くかのチェック
開発したシステムが仕様通りに動くかを機能ごとにチェックする工程です。テストを行うことによって、プログラムが正常に組まれているか、機能の連携がうまくいっているかなどをチェックします。バグ・欠陥が見つかれば、この工程で修正を行います。
運用:実際に現場で使用して間違いがないかの確認
テストで検証して品質が保証されれば、いよいよ現場での運用開始です。実際の使用感などを確認しましょう。ただし、システムは開発して終わりではありません。運用が始まってからの保守対応も必要になります。状況によっては、新たな機能の搭載も必要です。保守や機能の追加がしやすいのも、スクラッチ開発のメリットと言えるでしょう。
スクラッチ開発に向いている開発
スクラッチ開発するメリット・デメリットを踏まえると、下記のようなプロジェクトがスクラッチ開発に向いていると考えられるでしょう。以下に該当するようであれば、スクラッチ開発を検討してみましょう。
- パッケージでは実現できない特殊な業務フロー・手順のシステム化
- コンプライアンス・セキュリティなどの特殊な要件を満たすシステム
- 既存にない新規事業・サービスのシステム
その他に、スクラッチ開発に向いている開発は、以下のとおりです。
納期と予算に余裕がある
コストや期間がかかるとわかっていても、失敗せずにクオリティの高いシステムを目指したい開発の場合は、スクラッチ開発が向いています。また、自社の業務に合わせたシステムや他のシステムとも柔軟に連携させたい場合もスクラッチ開発がおすすめです。
業務フローがシステムによって変更できない
たとえ限定的なものであっても、業務を遂行するうえで業務フローが欠かせないのであれば、業務フローを変更してまでパッケージ開発を行うことはありません。パッケージでは実現できないような特殊な業務フローや手順をシステム化する場合は、スクラッチ開発がおすすめです。
定期的にシステムの改修が必要になる
システム開発後も継続的に機能追加や改修が発生しそうなシステムは、スクラッチ開発がおすすめです。パッケージ開発では、カスタマイズで対応できないケースや費用がかえって高くなってしまうケースもあります。
まとめ
システム開発を行う際は、パッケージ開発がよいのかスクラッチ開発(フルスクラッチ開発)がよいのか、迷ってしまう担当者は多いでしょう。独自性のあるシステム開発を行いたい場合や今後、機能追加や改修が発生しそうなシステムはスクラッチ開発がおすすめです。しかし、スクラッチ開発には、専門的な知識や高いプログラミング技術が求められるため注意しなければなりません。スクラッチ開発のメリット・デメリットをはじめ、選ばれる理由や進め方についても解説したので、ぜひ参考にしてください。
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