パッケージ開発とは?メリット・デメリットや導入の際の比較やポイントを徹底解説
目次[非表示]
- 1.システム導入におけるパッケージ開発とは?スクラッチ開発との違い
- 1.1.パッケージ開発とは
- 1.2.パッケージ開発とスクラッチ開発との違い
- 2.パッケージ開発に向いている案件・企業
- 2.1.開発にかかる費用をなるべく抑えたい
- 2.2.複雑な要件がなく独自のシステムを組む必要がない
- 2.3.構築するまでに時間をかけたくない
- 3.パッケージ開発の3つのメリット
- 3.1.開発期間が短期間でできる
- 3.2.初期費用を低く抑えることができる
- 3.3.再現性が高く安定的に機能する
- 4.パッケージ開発の3つのデメリット
- 5.パッケージ開発とスクラッチ開発を比較する際のポイント
- 5.1.どの程度のカスタムや機能を求めるか
- 5.2.オリジナルのシステムを構築すべきか
- 5.3.業務の優先度や制約の許容範囲で検討する
- 6.まとめ
システム導入におけるパッケージ開発とは?スクラッチ開発との違い
システム導入を検討する際、どのような開発手法を選べばよいのか迷ってしまうことは多いでしょう。そこで、パッケージ開発の特徴をはじめ、ほかの手法であるスクラッチ開発との違いを解説していきます。
パッケージ開発とは
一般的にパッケージとは、市販されている「パッケージソフト」を指します。標準的な機能が幅広く搭載されている既製品(市販ソフトウェア)です。パッケージ開発とは、既存のパッケージを自社の要件に合わせてカスタマイズする開発手法です。
技術担当者がいなくても、導入するだけで簡単に使い始めることができるパッケージもあります。その一方で、ユーザー独自の仕組みや機能を追加・拡張するといったカスタマイズができるパッケージも存在します。
パッケージ開発で使われるパッケージソフトは、カスタマイズが可能な既存パッケージを利用するケースが一般的になっています。パッケージには、パブリッククラウドにサーバを構築しインターネットで共有するクラウド型、自社内にサーバを構築し共有するオンプレミス型などがあります。
昨今のパッケージシステムはクラウド型と呼ばれるタイプのパッケージが増えてきており、よく店頭で販売されているディスクのパッケージ製品と違い、データのみで使用開始が可能です。
クラウド型システムは「クラウド」である点から、一つのシステムを企業の社員共同で使うことができ、カスタマイズも更なるシステム開発も不要です。機能面も操作性も、オンプレミス型とほとんど変わらない印象です。
パッケージ開発とスクラッチ開発との違い
既存のパッケージを利用することなく、ゼロからすべて構築する開発手法がスクラッチ開発です。スクラッチには、「最初から」という意味があります。Java、C言語、COBOL、PHP、Ruby、pythonなど、多様なプログラミング言語の中から、最適な言語を選び、要件に合わせたプログラムを0から構築していく完全フルオーダーで構築できるシステムと考えてよいでしょう。パッケージ開発とスクラッチ開発のどちらを選ぶかによって、システム導入の費用や期間が大きく変わってきます。どちらの開発手法にもメリット・デメリットがありますが、一概にどちらがよいとは言えません。業種、業務によって、それぞれ向き・不向きがあります。
▶︎スクラッチ開発についてはこちらも参考にしてみてください。
→スクラッチ開発とは?必要な理由やメリット・デメリットを分かりやすく解説
パッケージ開発に向いている案件・企業
パッケージ開発とスクラッチ開発の違いが明確になったところで、パッケージ開発向きの案件・企業をチェックしてみましょう。
開発にかかる費用をなるべく抑えたい
パッケージ開発は、すでに出来上がっているソフトウェアを利用するため、ゼロから開発する必要がありません。一方で、スクラッチ開発は、ゼロから開発を行わなければならないため、費用、開発期間のほかに、開発のための専門的スキルやエンジニアが必要となります。パッケージ開発にかかる費用は、パッケージの購入費用とカスタマイズ費用がメインです。そのため、費用を抑えて短期間で開発できます。
複雑な要件がなく独自のシステムを組む必要がない
独自性のある複雑な業務や特殊な業務フローであれば、ゼロから開発を行うスクラッチ開発が向いています。ただし、独自のシステムを組む必要がない場合は、わざわざ費用や期間をかける必要がありません。一般的な業務、あるいは複雑なシステムが必要ない場合は、汎用的なシステムでまかなうことができます。
構築するまでに時間をかけたくない
スクラッチ開発は、0からシステムを構築する必要があり、どうしても時間がかかってしまいます。しかし、パッケージ開発は、すでにあるシステムを利用して開発するため、短期間での構築が可能です。カスタマイズが複雑であれば多少時間はかかりますが、スクラッチ開発に比べると短期間で構築できます。複雑な要件や独自性の必要性がない場合で、時間をかけたくないときは、パッケージ開発が向いています。
パッケージ開発の3つのメリット
パッケージ開発のメリットは、主に以下の3点が挙げられます。
開発期間が短期間でできる
先にもご紹介したとおり、すでに出来上がっているパッケージを利用するため、開発期間があまりかからない点がメリットです。業務の変更や法令対応などで、システム開発が急務な場合などに向いています。ただし、パッケージ開発でもカスタマイズ数が増えれば長期化することもあるので注意しましょう。
初期費用を低く抑えることができる
パッケージ開発は、スクラッチ開発に比べて少ない初期費用で開発可能です。多くのパッケージには、オプションやカスタマイズできる範囲が設けられており、追加や拡張開発できるものもあります。オプションやカスタマイズに多少費用がかかっても、スクラッチ開発ほどの費用は発生しません。
再現性が高く安定的に機能する
一般的なパッケージソフトは、スクラッチ開発に比べ、利用しているユーザーが多いです。そのため、下記のような特長があります。
- 再現性が高い
- 安定稼働に対するリスクが低い
- トラブル対応が速やかなど
ほかのユーザーの利用によって顕在化したバグが見つかると修正版が配布されて対応するため、自社に影響が出ないうちにトラブルが解決していたというケースもよくあります。その一方、スクラッチ開発は、バグやシステムトラブルの毎に対応に追われてしまう点がデメリットと言えるでしょう。
パッケージ開発の3つのデメリット
低コスト短期間での開発が可能で、再現性が高く、安定的に機能するなど、パッケージ開発には多くのメリットがあります。しかし、以下のようなデメリットもあるので、自社にとっての向き・不向きを判断する際には注意が必要です。
完全オーダーメイドの開発ができず、応用が利かない
スクラッチ開発はゼロから構築する完全オーダーメイドの開発です。自由度が高く、融通が利きやすいというメリットがあります。しかし、パッケージ開発は、既存のパッケージを利用するため、パッケージの許容内での開発しかできません。独自性があるシステムを作れない点はデメリットと言えるでしょう。ただし、カスタマイズ機能によって、追加・拡張開発を行い、ある程度は独自性を出すことも可能です。
業務フローをシステムに合わせて変更する必要が出てくる
スクラッチ開発は、業務フローに合わせたシステム開発を行うことが可能です。画面のレイアウトや帳票の種類など、自社に合わせた開発も行えます。しかし、パッケージ開発は、パッケージ内のシステムを変えることはできません。場合によっては業務フローを変更する必要があります。ユーザーに混乱を招いたり、慣れるまでに時間がかかったりすることも考えておかなければなりません。
システムがブラックボックス化し、トラブル対応が難しい
パッケージ開発の場合、パッケージの開発から関わったわけではありません。プログラムの全貌を把握することが難しく、システムがブラックボックス化しています。ユーザーにとって、理解できない動きをした場合でも、操作ミスなのかバグなのかの判断がしづらく、解決まで時間がかかることがあります。また、ベンダーの倒産などによって、パッケージのサポートが打ち切られた場合は、トラブル対応ができなくなるというリスクもはらんでいます。
パッケージ開発とスクラッチ開発を比較する際のポイント
自社にとってパッケージ開発とスクラッチ開発を比較する際は、どのような点に注目していけば良いでしょうか?
それは「予算や導入までの準備期間をどのくらい確保できるか」によります。
どの程度のカスタムや機能を求めるか
システム構築にあたって、自社の業務をどの程度解決できるかを十分検討する必要があります。パッケージにすでに解決できる内容が揃っているのであれば、パッケージ開発が向いているでしょう。既成パッケージの中に自社が求めるような独自性がない場合や、変更できない業務フローがある場合は、スクラッチ開発が向いています。
パッケージ開発の場合、自社の業務を一元的に解決できないシステムを選んでしまうと、複数のパッケージを組み合わせなければならなくなったり、大幅なカスタマイズが必要になったりすることもあります。パッケージ選びに失敗すると、スクラッチ開発よりも費用が膨らんでしまうこともあるので、注意しましょう。
オリジナルのシステムを構築すべきか
独自性のあるシステムを導入したい場合は、スクラッチ開発を検討するケースも多いでしょう。しかし、よく探していないだけで、実はすでにテンプレートとして同じようなものが既製品として販売されていることもあります。これから構築したいシステムがパッケージで売られていないかどうかは、入念にリサーチする必要があります。類似しているパッケージでも、重要な機能が欠落しているという場合は、スクラッチ開発の方が向いているでしょう。
業務の優先度や制約の許容範囲で検討する
システム導入をしてまでも解決したい業務であるかどうか、独自性や汎用性など制約の許容範囲であるかどうかなども考える必要があります。急務となる業務の場合は、いくらシステムを導入したくても開発までに時間がかかるスクラッチ開発は向いていません。パッケージ製品で対応でき、業務が重要事項かつ早急に解決しなければならないのであれば、パッケージ開発を行うのもよいでしょう。システム導入によって改善を図る業務の独立性と優先度のバランスを考えたうえで、十分な検討が必要です。
まとめ
システム導入を検討する際は、パッケージ開発・スクラッチ開発のどちらがよいか悩んでしまうこともあるでしょう。今回は、パッケージ開発に向いている案件・企業、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。それぞれを踏まえたうえで、業界や業務に合ったシステムを検討してみましょう。
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