ベトナムでシステム開発をするメリット・デメリットと開発事例
目次[非表示]
- 1.なぜ日本企業はベトナムでオフショア開発を検討するのか?
- 2.オフショア開発でのベトナムのメリット
- 3.オフショア開発でベトナムを選ぶデメリットは?
- 3.1.①社員の定着率が低い
- 3.2.②言語・文化の違いによるコミュニケーションの齟齬
- 3.3.③小さな開発案件の場合コストを削減できない
- 4.ベトナムのオフショア開発の価格は?
- 5.ベトナムオフショア開発の事例
- 5.1.ベトナムオフショア開発の成功事例
- 5.1.1.■ゴルフにフォーカスした事業|年間約2億円のコスト削減を実現。運用保守の70%をベトナムへ移管
- 5.1.2.■中古車販売事業|基幹システムを再構築&海外ローカライズを短期間で実現
- 5.1.3.■デジタル素材販売のECサイトを運営する事業|優秀なエンジニアを確保し生産性を改善
- 5.2.オフショア開発ならコウェル
- 6.まとめ
オフショア開発の委託先は、ASEAN諸国を中心とするアジア圏の各国が上位を占めます。中でも、近年はベトナムが大きな人気を集めており、一極集中ともいうべき状況にあります。
なぜベトナムが、システムやアプリ開発でオフショア開発を検討する日本企業から選ばれているのでしょうか? 本記事では、注目度No.1のベトナムのオフショア開発について、その人気の理由をご紹介します。
また、日本最大級のオフショア開発のためのマッチングサイト、オフショア開発.com(運営・株式会社Resorz)が2021年10月に発行した『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』の内容に沿って、ベトナムのオフショア開発の特徴や最新の動向などを解説しながら、その人気の秘密を深掘りしていきます。
なぜ日本企業はベトナムでオフショア開発を検討するのか?
ベトナムは近年、オフショア開発の委託先として注目度の高い国にランクインしています。日本企業がオフショア開発先としてベトナムを検討する理由はどこにあるのでしょうか?
中大企業に人気!ベトナムオフショアを検討する企業の規模
次のグラフは、2020年1月~12月の1年間に「オフショア開発.com」に寄せられた開発案件に関する相談のうち、ベトナムを発注先として指定したもの(グラフ左)と、相談件数全体(グラフ右)との構成比を表しています。
参照:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』 https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
全体の傾向と比べてみると、ベトナムを発注先として検討する企業のうち、従業員1000名以上の大企業が28パーセント(全体の傾向では14パーセント)と、大企業からの相談が約3割を占めていることが、特徴として読み取れます。
対照的に、100名以下の中小企業の相談割合はベトナム指定が66パーセント、全体が78パーセントと、前者のほうが少ない傾向にあります。特に10名以下の小規模事業者においては、ベトナム指定が33パーセント、全体が56パーセントと顕著な差が見られます。
小規模事業者がベトナムをオフショア開発の検討対象としていない理由として、近年のベトナムにおける人件費の高騰が挙げられます。詳しくは後述しますが、今ではオフショア開発の中心地となったベトナムでは、高度案件にも対応できるIT人材の育成に力を入れていることから、人件費は上昇傾向にあります。したがって、コスト削減ニーズの高い中小企業にとっては、人件費をより抑えられるミャンマーやバングラデシュを選択肢として検討していることが考えられます。
基幹系システムはお手のもの?オフショア開発案件に向いているもの
同白書内で「オフショア開発.com」に寄せられた開発案件に関する相談について、ベトナムを指定した案件と、オフショア開発全体の案件とで比較したところ、ベトナムにおいては「基幹系システム」が全体の17パーセントを占め、オフショア開発全体(4パーセント)と比べて際立って高い結果となりました。
この結果にもみられるように、ベトナムでの受託案件は、Webシステムやスマートフォンアプリ開発など定番の開発案件に加えて、近年では大規模開発やERP、基幹システムなど高難度の開発に対応するケースが増えています。また、AI開発など最先端技術を要する案件も増加傾向にあります。国を挙げての技術力の向上や先端テクノロジーへの取り組みなどを背景に、高度な開発案件にも幅広く対応できる守備範囲の広さが、ベトナムをオフショア開発先として選ぶべき理由の一つになっています。
次に開発案件別の内訳を見てみましょう。
参照:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』 https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
ベトナムを指定した開発案件別の割合(グラフ左)と、全体での開発案件別の割合(グラフ右)を比較すると、いずれもWebシステム開発(業務系・サービス系)とスマホアプリ開発が7割前後を占めており、この両者が主要な開発案件であることが読み取れます。
一方で、両者で大きな差が生じたのは、前述した「基幹系システム」の割合で、ベトナム指定が17パーセント、全体が4パーセントと、前者のほうが大きな割合を占めています。SAPをはじめとするERP開発については、特殊な開発言語を使用するため高度な技術力が要求されます。それだけの技術力を持つ IT人材は国内では不足しており、SaaS提供企業の課題として、導入パートナーやそのリソースが少ないことが挙げられます。したがって、海外のリソースを活用せざるを得なくなっているのが実態なのです。
従来、こうしたERP開発案件は、開発実績・リソースともに豊富な中国やインドが選ばれる傾向にありました。そこに、近年では高度IT人材の育成に注力するベトナムが台頭しつつあります。
さらに注目したいのは、「AI開発」がベトナム指定においては10パーセントを占めている点です。事実、ベトナムでは、機械学習や深層学習といったAI領域の開発に対応できるオフショア開発企業が増えています。世界中のデータサイエンティスト・機械学習エンジニアが集うコミュニティ「Kaggle」が主宰するコンペティションでも、多くのベトナム人エンジニアが参加し、優秀な成績を修めています。
こういった先端テクノロジーの分野は、日本国内ではとりわけエンジニア不足が顕著に表れており、ベトナムが開発ニーズの受け皿として大きなポテンシャルを秘めていることがわかります。
ラボ型がトレンド?ベトナムオフショア開発の契約形態
さて、そのベトナムでのオフショア開発は、どのような契約形態で発注されるケースが多いのでしょうか。「請負契約」「ラボ契約」「SES」(システム・エンジニアリングサービス)の3形態の割合を見てみましょう。
参照:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』
https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
ベトナム(グラフ左)においては「ラボ契約」が53パーセントと半数以上を占めています。一方、全体での割合(グラフ右)は32パーセントにとどまっています。
この傾向からは、ベトナムでオフショア開発の発注を経験した企業が、その成功体験から、自社専任の開発チームを確保でき、継続的な発注ができるラボ契約を検討していることが示唆されます。また、ベトナムのオフショア開発企業も日本向けの開発実績とノウハウを着実に蓄積しており、ラボ型開発に対応しうる体制を整えていることも背景にあるでしょう。
ラボ契約は、継続的な発注を行うことでコストメリットを出せる契約形態として、オフショア開発においては一般的な契約形態になりつつあります。受託する側の開発企業にとっても、継続的な稼働が見込めるラボ契約にはメリットがあり、マーケティングや営業活動に注力する企業も増えています。
契約形態とともに、オフショア開発を発注する際の予算感も気になるところです。契約形態ごとに予算感は変わってきますので、「請負契約」と「ラボ契約・SES」に分けて、ベトナム指定と全体の傾向を比較してみます。
参照:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』 https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
まず「請負契約」の予算別割合を比較すると、ベトナム(グラフ左)では、300万円~1000万円の案件が64パーセントを占めています(全体割合では35パーセント)。
開発規模が比較的大きい案件については、全体に比べてベトナムを発注先として指定しているケースが多いことがうかがえます。
続いて、ラボ契約・SESの予算別割合を見てみましょう。
参照:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』 https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
全体(グラフ右)では100万円以下の案件がボリュームゾーンですが、ベトナム指定(グラフ左)では200~500万円規模が最も大きい割合となりました。ベトナム以外の国では、比較的小さな規模の開発案件でラボ契約を試すケースが多く、すでに実績やノウハウを積んだ企業が多いベトナムでは、より規模を拡大してラボ契約を検討するケースが増えていると推察されます。
ラボ型契約とSESは、いずれも成果物ではなく、作業に要した人員と期間に対して対価を支払う点で共通しています。このラボ型契約・SESの増加は、スポットではなく継続的にベトナムでのオフショア活用が広がっていることを示唆しています。SESに限って言うと、日本との地理的近さといった側面も大きいものと思われます。
オフショア開発でのベトナムのメリット
ここまでベトナムオフショア開発の動向をふまえ日本企業に注目されているポイントについてお伝えしてきましたが、では実際にベトナムをオフショア開発先に選ぶメリットはどんな点なのでしょうか?
参照:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』
https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
①コスト削減とリソース確保の両方を実現可能
オフショア開発先の国を選択するトレンドは、人件費の安さを強みにコスト削減ニーズに応える国と、高い技術力や最適なITリソースを有し、リソース確保ニーズに応える国とに二極化しています。前者はミャンマーやバングラデシュといった国々、後者は中国、インドといった国々が代表例として挙げられます。
そのようなトレンドの中で、ベトナムは「コスト削減」と「リソース確保」の両面で支持を集めています。
もともと、2010年代に入った当初は、ベトナムはコスト削減ニーズに応えられる人件費の安いオフショア開発先として支持を集めていました。しかし、近年では高度なITエンジニア人材の育成に力を入れており、「人件費単価の上昇」と「技術力の向上」がセットで進みつつあります。その流れの中で、ベトナムを支持するポイントが、かつての「価格」から「品質・技術」へと移行しつつあります。
『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』でも ”そうしたトレンドの中、オフショア先の国は人件費の安さを強みとする国(=コスト削減ニーズに応える国)と、高い技術力や最適なITリソースの提供を強みとする国(=リソース確保ニーズに応える国)とで二極化が進んでいます。”と述べられている通り、日本国内に比べると人件費のコスト優位性は未だに高く、コスト削減とリソースの確保をバランスよく実現できる点が、ベトナムのオフショア開発を選ぶべき最大の理由といえるでしょう。
その他にも、日本との地理的な距離の近さ、勤勉で親日な国民性、地政学的リスクの少なさなど、コスト面や技術面以外の要因も、ベトナムが支持される理由として挙げられます。
②基幹系システムからAI開発まで広いニーズへ対応
同白書内で「オフショア開発.com」に寄せられた開発案件に関する相談について、ベトナムを指定した案件と、オフショア開発全体の案件とで比較したところ、ベトナムにおいては「基幹系システム」が全体の17パーセントを占め、オフショア開発全体(4パーセント)と比べて際立って高い結果となりました。
この結果にもみられるように、ベトナムでの受託案件は、Webシステムやスマートフォンアプリ開発など定番の開発案件に加えて、近年では大規模開発やERP、基幹システムなど高難度の開発に対応するケースが増えています。また、AI開発など最先端技術を要する案件も増加傾向にあります。国を挙げての技術力の向上や先端テクノロジーへの取り組みなどを背景に、高度な開発案件にも幅広く対応できる守備範囲の広さが、ベトナムをオフショア開発先として選ぶべき理由の一つになっています。
③品質管理・プロジェクト管理に強み
「オフショア開発.com」が2021年2月に実施した『オフショア開発に関するアンケート調査』によると、ベトナムのオフショア開発企業の強みとして「品質管理・プロジェクト管理」と回答した企業が5割近くと、最も多い結果となりました。10年あまりをかけて開発実績とプロジェクトの成功経験がベトナムのオフショア開発企業の中に蓄積されたことが、品質管理・プロジェクト管理における日本企業側との信頼構築につながっています。
そのようなベトナムのオフショア開発企業の品質向上を反映し、ベトナムにおけるオフショア開発人材の人件費は総じて上昇傾向にあります。それでも、PM人材については人月単価の上昇が一段落し、プロジェクトマネジメントを担える人材を安定的に供給できるようになりつつあります。また、日本企業との橋渡し役となるブリッジSEにおいては単価の上昇幅が大きく、現地のIT人材にとって魅力的な職種になっています。
現に、プロジェクトマネジメントに強みと実績を持つベトナムの開発企業は増えており、高いレベルで日本語対応ができる現地人材を備える企業も少なくありません。このように、技術面だけでなく、品質管理やプロジェクト管理に強みを持っている企業が増えている点も、ベトナムを選択すべき有力な理由といえます。
▶︎ベトナムのオフショア開発はこちらも参考にしてみてください。
→オフショア開発でベトナムが選ばれる理由7選!ベトナムのオフショア開発の現状も解説
オフショア開発でベトナムを選ぶデメリットは?
ベトナムに限らずオフショア開発の「エンジニア不足の解消」、「コストの大幅な削減」というメリットをうまく活用して、ビジネスを大きくする事例も多数出てきています。
しかし、一方で「なかなか成功しない」とデメリットを語る声もあります。
ここでは、オフショア開発のデメリットとしてよく聞くデメリットについてご紹介します。
①社員の定着率が低い
1つめのデメリットとしては、社員の定着率が低い点かもしれません。
日本人からみる、欧米のイメージを想像してみると分かり易いですが、ベトナムにおける転職率が日本よりも高いことが大きく関係しています。
日本では新卒で入社した会社に長く留まる傾向にあり、まだまだ日本では転職を繰り返すことへ抵抗を感じる人が多くいます。一方、欧米を始めベトナムでは、転職への抵抗が比較的薄く、オフショア開発のプロジェクト進行中にも関わらず、メンバー離脱の影響を受けチームメンバーが入れ変わるといった場面も起こり得ます。
②言語・文化の違いによるコミュニケーションの齟齬
2つめは言語の壁によるコミュニケーションの難しさです。
これはベトナムに限らずどの国を選んでも同様ですが、オフショア開発は拠点が海外であるため、物理的な距離の遠さから、現地の開発メンバーと直接打ち合わせを行うことがかないません。
こうしたコミュニケーションの難しさから、設計書の内容を理解させ、開発の進捗を管理するのに時間がかかりすぎるということがデメリットとしていわれがちです。もちろん、言語が異なるため日本語独特のニュアンスが伝わらず、意図しない完成品が生まれることもあります。日本語のニュアンスがうまく伝わらないことで、求めている品質レベルがうまく伝わらず、高品質なシステム開発を担保できないという声もあります。
その会話での問題点は、話の捉え方が異なることです。日本では、空気や行間を読む文化が根付いているため、多少の曖昧な表現があったとしても会話が成り立ちます。しかし、ベトナムをはじめ多くの外国の場合「明確に言ってくれないと分からない、はっきり言って」と感じる人が多く、曖昧な表現を交えた会話は難しくなり、意思の疎通が図れず、齟齬が起きてしまうといった場面も発生します。
加えて、日本の仕事スタイル、文化が海外では受け入れられない可能性があります。
例えば、日本ではサービス残業をしてでも納期に間に合わせようとすることがありますが、日本以外のオフショア開発先にはその常識はありません。「報・連・相」が習慣化していないことも多く、物理的な距離も相まって、コミュニケーションだけでなく進捗や品質管理の難易度も高くなり、報告通りに進捗管理を行い問題がないように見えていても、現実には品質に問題があるケースもあります。
こうした商慣習のズレからくる問題により、計画よりも進捗が遅れたり、納期に間に合わなかったりするケースが生じ、それらの事例がデメリットとして語られることが多くなっています。
③小さな開発案件の場合コストを削減できない
意外にもデメリットとしてよく聞く問題は、思ったよりもコストを削減できないことです。
オフショア開発の場合、開発エンジニアの人件費以外にも費用がかかります。例えば、専門的な知識を持ち、橋渡し役としてプロジェクトを推進するブリッジSEや、日本語から現地語に翻訳し、業務を推進するコミュニケーターが必要になります。国内の開発拠点と違い、こうしたオフショア開発で必要になる特殊な人員がかかるため、小規模な案件だと、削減できた人件費以外の費用がかさんでしまい、当初の想定よりもコストメリットが出ないことがあります。
ベトナムのオフショア開発の価格は?
ここまで見てきたように、ベトナムは、今日ではオフショア開発の中心地ともいえるほどに成長を遂げてきましたが、その過程で、企業がベトナムを選択する軸が「価格」から「品質・技術」へとシフトしつつあります。
では、実際にベトナムのオフショア開発の人件費単価はどうなっているのでしょうか。
ベトナムオフショア開発企業の人月単価
ベトナムオフショア開発における人月単価は、下表のとおりとなっています。
・ベトナムオフショア開発企業の人月単価(万円)
プログラマー |
シニアエンジニア |
ブリッジSE |
PM |
36.58(+24.6%) |
42.93(+16.8%) |
48.64(+10.4%) |
62.61(Δ1.6%) |
出典:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』(オフショア開発.com
https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
プログラマーやシニアエンジニア、ブリッジSEともに、単価は上昇傾向にあります。とはいえ、平均的に安価な水準を保っており、職能が上がっても単価の上昇幅が大きくない特徴があります。それだけ上位の職能を担当できる技術者がベトナム国内には豊富に存在するということがいえます。
また、PM人材に関しては単価が低下しているのは注目に値します。これまでのベトナムのオフショア開発においては、品質管理やコスト削減のためのプロジェクトマネジメント人材の不足が課題とされてきました。しかし、今日ではそのPM人材が育ってきており、日本企業の需要に応えられるだけの供給体制が整っていることがうかがえます。
事実、ベトナムでは政府のバックアップのもと、ホーチミン工科大学や、ハノイ工科大学など優秀なITエンジニアを輩出している大学や専門学校が増えています。
なお、ベトナム国内では、主要都市のホーチミンやハノイに加え、ダナンといった新興都市が台頭してきています。そういった新興都市では単価も比較的割安です。ベトナム国内でもどの都市に開発を委託するかで単価が変わってくるので、いくつかの都市を比較検討してみる必要があります。
ベトナムのオフショア開発の受託案件の傾向
ベトナムオフショア企業が実際に請け負っている案件についても見ていきましょう。上のグラフがベトナムオフショア企業の受託案件で、下のグラフがオフショア全体での結果です。
出典:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』(オフショア開発.com
https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
「Webシステム」と「スマホアプリ」が中心なのは共通の傾向ですが、ベトナムでは業務系のWebシステム開発よりもサービス系のWebシステム開発のほうが多い傾向が見られます。サービス系のWebシステムでは、業務系と異なり、発注企業ごとにターゲットとなる顧客層、提供するサービス内容等に応じて、細かな要件が発生するケースが大半です。そうした要件を仕様に落とし込む上流工程を担える企業は、ミャンマーやバングラデシュ、フィリピンといった国ではまだ少なく、ベトナムでの受託が中心となっていると推察されます。
また、全体と比較すると「組み込み開発」の割合が高くなっているのも特徴の一つです。PCなどの汎用システムとは対照的に、組み込み開発では、家電や工作機器などそれぞれに、特定の機能に限定されたシステムが組み込まれています。そのシステムは千差万別であり、受託するには特殊な実績が必要となります。オフショア開発においては中国やインドに次いでベトナムが主要な担い手となりつつあり、そうした状況がこのグラフにも反映されています。
出典:『オフショア開発白書2021年・ベトナム版』(オフショア開発.com
https://www.offshore-kaihatsu.com/news/articles/white-paper-2021-vietnam/
さらに、ベトナムオフショア企業が今後注力していきたい案件についても見てみると、「スマホアプリ開発」「Webシステム開発(サービス系)」の割合が高く、今後もこの両者が主要プロジェクトとなっていくものと思われます。加えてAI、IoT、ブロックチェーンなどの開発案件の割合も実際の受注案件に比べて伸びており、これらの最先端技術開発に注力していきたい意向がうかがえます。
ベトナムオフショア開発の事例
実際には、以下のような開発事例があります。
業態 |
依頼/開発内容 |
輸送機械製造業のIT関連企業 |
販売チェーン管理システムのDXシフト |
総合商社(東証一部上場) |
自社開発の特定業種向けERPパッケージ用ワークフローシステムの開発 |
自動車部品製造大手企業 |
RFID(※)コードスキャン機器の組み込みソフトウェアのカスタマイズ |
大手電機メーカー系開発企業 |
特定業種向けSaaSサービスのマイグレーション |
※ERP:統合基幹業務システム
※RFID:電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム
■関連記事:
ベトナムオフショア開発の成功事例
では実際に弊社でサポートした企業様の事例を、導入背景や効果、成功要因と合わせてご紹介します。
■ゴルフにフォーカスした事業|年間約2億円のコスト削減を実現。運用保守の70%をベトナムへ移管
ゴルフにフォーカスした3つの事業を軸に展開し、リテールビジネス、ゴルフ場ビジネス、メディアビジネスが主力事業とする企業さまです。過去にオフショア開発先として中国/インドで上手くいかなかったオフショア開発にベトナムで再チャレンジされました。
保守運用作業のリソース確保に課題を抱えていました。
オフショア開発での開発を採用したことで、年間約2億円のコスト削減を実現。運用保守の70%をベトナムへ移管できた事例です。
・導入の背景
- 中国/インドで上手くいかなかったオフショア開発にベトナムで再チャレンジ
- 保守運用作業の効果的なアウトソーシングが必要
・実施内容
- オフショア開発 + 運用保持
・導入の効果/成果
- 年間約2億円のコスト削減を実現
- ベトナム開発チームは、当初の2名から50名規模へ拡大
■中古車販売事業|基幹システムを再構築&海外ローカライズを短期間で実現
1994年に創業し、中古車販売店の全国展開により業容を拡大された企業さまです。
国内での開発および人員確保に課題を抱えていました。
オフショア開発での開発を採用したことで、基幹システムをベトナムオフショアで再構築&海外ローカライズを短期間で実現できた事例です。
・導入の背景
- 国内での開発および人員確保に課題
- 世界展開を狙うために基幹システムを再構築したい
・実施内容
- オフショア開発+ラボ型開発+クラウドインテグレーション
・導入の効果/成果
- 国内レベルの開発をオフショア価格で実現
- システム開発とワンストップでのAWS海外リージョン構築で短期間での海外展開へ
■デジタル素材販売のECサイトを運営する事業|優秀なエンジニアを確保し生産性を改善
ゴルフにフォーカスした3つの事業を軸に展開し、リテールビジネス、ゴルフ場ビジネス、メディアビジネスが主力事業とする企業さまです。過去にオフショア開発先として中国/インドで上手くいかなかったオフショア開発にベトナムで再チャレンジされました。
保守運用作業のリソース確保に課題を抱えていました。
オフショア開発での開発を採用したことで、年間約2億円のコスト削減を実現。運用保守の70%をベトナムへ移管できた事例です。
・導入の背景
- 開発者不足でシステム開発が追い付かず生産性が低下
- オフショア開発はコミュニケーションに懸念あり
・実施内容
- ラボ型開発
・導入の効果/成果
- 日本とベトナムを常時接続したTV会議システムと、チームビルティングで一体感が生まれた
- 優秀なエンジニアを確保し生産性を改善
- 自社エンジニアが、グローバルエンジニアとしての成長も実現
▶︎その他の弊社のお取引事例はこちらも参考にしてみてください。
→取引事例|オフショア開発を高品質・低コストで実現
オフショア開発ならコウェル
「どこの海外の開発会社にオフショア開発を依頼すればいいのだろう…」
このようにお悩みであれば、「コウェル」がおすすめです。
「コウェル」はベトナムと日本に拠点を置いており、WEB・業務システムの開発や、EC構築の開発など、幅広いシステム開発と高品質なオフショア開発サービスを提供しています。
コスト・スピード・品質には自信があり、国内大手企業様からも開発依頼を多くいただいています。
開発実績としてはWebシステムの開発や業務システム・越境EC開発などが豊富です。
さまざまなニーズに応えた実績もあり、経験豊富なソフトウェア開発会社です。
「なるべくコストを抑えてソフトウェアを開発したい」
「納期が短いから国内のエンジニアだけでは難しい」
このようなお悩みがあれば、オフショア開発を検討してみてはいかがでしょうか。
またベトナム開発チームの多くはハノイ工科大学の卒業生であり、ベトナム屈指の技術系大学を卒業したエンジニアを中心に採用しています。
高い技術力を備えたエンジニアが豊富なため、高品質なオフショア開発をお求めであれば、ぜひ「コウェル」までご相談ください。
まとめ
改めて、オフショア開発先としてベトナムを選択すべき理由の「TOP3」は次のとおりです。
- コスト削減とリソース確保の両方を実現可能
- 基幹系システムからAI開発まで広いニーズへ対応
- 品質管理・プロジェクト管理に強み
国を挙げて高度IT人材の育成に注力し続けてきた成果として、近年では基幹系システムからAI、IoT、ブロックチェーンなど幅広い開発ニーズに対応できる人材が増えているベトナム。加えて、オフショア開発におけるポイントである品質管理やPM人材も豊富に揃える企業が増えています。
コスト削減とリソース確保の両方のニーズにバランスよく応えられるオフショア開発先として、コウェルのオフショア開発の事例からも自社のニーズに近い事例を見つけながら、選択肢の一つとしてぜひ検討してみてください。
今回はオフショア開発先としてベトナムを選択すべき理由についてご紹介しました。
なお、コウェルに関する詳細資料は以下でダウンロードすることが可能ですので、何かございましたらお気軽にお問い合わせください。
このほか、弊社の具体的なサービスや導入事例については以下をご覧ください。
コウェルのサービスメニュー>>>
コウェルは、日本とベトナムから世界中のお客さまへ高品質なソフトウェアテスト・品質保証・オフショア開発サービスを提供しています。
コウェルの導入事例>>>
コウェルは情報通信、金融、流通・小売サービス、医療・ヘルスケアなど、さまざまな業界のお客様の導入を支援しています。