【2022年最新版】IT業界のオフショア開発とは
目次[非表示]
- 1.初心者でもわかる!「オフショア開発」とは?
- 1.1.「オフショア」の意味は業界によって違う?
- 1.2.オフショア開発先に選ばれる国は「ベトナム」
- 1.3.オフショア開発が得意なこと・苦手なことのメリットとデメリット
- 1.4.信頼性が高い!大手企業も利用している
- 1.5.オンショア・ニアショアとの違い
- 2.IT業界におけるオフショアとは?
- 2.1.活用①ソフトウェアなどの新規開発業務
- 2.2.活用②既存システムの保守業務
- 3.2021年版『オフショア開発白書』から読み解く最新トレンド
- 3.1.『オフショア開発白書』から解ること
- 3.2.日本におけるオフショア開発の状況
- 3.3.オフショア開発の活用が進んでいる理由
- 3.3.1.➀日本エンジニアの高騰・リソース不足
- 3.3.2.➁コロナ禍でリモートワークの普及
- 3.4.「DX推進をオフショア開発で」のススメ
- 3.5.オフショア開発の品質課題「コミュニケーションロス」
- 4.オフショア開発ならコウェル!
- 5.まとめ
近年、日本国内のIT業界では人材不足と人件費の高騰の傾向が続いており、一方でDXの流れを受けIT導入のニーズは高まっています。その結果、需給ギャップが拡大し、国内だけでIT需要を賄うことが難しくなっています。
その中で、海外に開発をアウトソーシングする「オフショア開発」に注目する企業が増えています。でも「『オフショア開発』という言葉は聞いたことがあるけど、実はよくわからない……」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、IT業界におけるオフショア開発の基本的な説明から、オフショア開発の最新動向、具体的な活用方法、選び方のポイントまでをコンパクトに解説します。
初心者でもわかる!「オフショア開発」とは?
「オフショア」の意味は業界によって違う?
「オフショア(offshore)」とは、「岸(shore)」から「離れる(off)」、つまり「沖(合)に」「沖に向かって」という意味を持つ単語です。そこから転じて、ビジネスにおいては主に「海外の」「国外の」という意味の形容詞として「オフショア○○」「オフショアリング」のような形で用いられます。
その「オフショア」の意味は、業界やビジネスごとに若干異なります。例えば金融業界においては、非居住者に対する「租税環境の優遇国・地域」を意味します。一例として、ケイマン諸島やバミューダ諸島などの租税回避地(タックスヘイブン)に設立されるファンドは「オフショアファンド」、税制面で優遇されている国際金融市場は「オフショアマーケット」と呼ばれます。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の一環でバックオフィス機能を海外にアウトソーシングするのも「オフショアリング」の一つです。また、コールセンター業務などサービス機能のオフショアリングの事例もあり、一部の日本企業では日本語人材の豊富な中国の大連にコールセンター機能を移設する動きがみられます。
そして、本記事のテーマである「オフショア開発」とは、主にIT業界において、システムやアプリケーションなどの開発拠点を海外に置くことを指しています。
オフショア開発先に選ばれる国は「ベトナム」
主なオフショア開発先は中国、インド、ベトナム、フィリピン、バングラディシュなどで、東南アジア・南アジア諸国が多くを占めます。とりわけ突出しているのがベトナムで、国を挙げてIT開発人材を養成しています。「オフショア開発.com」に2020年の一年間に寄せられた相談・問合せの中では、過半数を超える52%の企業が、オフショア開発先としてベトナムを希望しています。
出典:『オフショア開発白書(2021年版)』(オフショア開発.com
https://www.digima-japan.com/event-news/lp/offshore_hakusho_2021/ )
▼ベトナムオフショア開発は、こちらを参考にしてみてください。
→オフショア開発でベトナムが選ばれる理由7選!ベトナムのオフショア開発の現状も解説
オフショア開発が得意なこと・苦手なことのメリットとデメリット
人件費などのコストを抑えながら、優秀な開発人材を活用できるのが、オフショア開発の最大のメリットです。その一方で、言葉や文化の違いから生じるコミュニケーションの難しさがオフショア開発には伴います。
このオフショア開発の特性から、各工程においてオフショア開発が得意とする領域と、そうでない領域が存在します。一般的には、コーディングなど工程が定型化された開発フェーズは、海外の優秀な開発人材の得意とするところで、オフショア開発のメリットが発揮されやすいといわれています。
一方、定型化しにくい仕様設計やUI/UXデザインなどは、オフショア開発にはなじみにくいとされています。特にUI/UXデザインはその国の文化や国民性にもかかわり、日本人が好むデザインを理解することが難しい側面があります。
プロジェクトの成否における重要なファクターである品質管理・プロジェクトマネジメント(PM)についてはどうでしょうか。上述したコミュニケーションの難しさというデメリットから、以前はオフショア開発の苦手な領域とされていました。しかし、近年ではここに差別化ポイントを見出し、PM力を強みとしてうたっているオフショア開発企業は増えています。したがって、その品質管理・PMの体制や実績は、オフショア企業選定の重要なポイントとなります。その際、実際の現地人材との架け橋となるブリッジSEがキーパーソンとなります。
もう一つ、オフショア開発の最新トレンドとして、AI・ブロックチェーン・IoTといった先端テクノロジーに対応するオフショア開発企業が増えています。特にベトナムでは、案件獲得に有利になること、人材の離反防止につながることから、これらの先端テクノロジー開発に対応できる人材の育成に力を入れています。現地の若いエンジニアにも、これらの実績やスキルを身につけたいという強いモチベーションがあります。後ほど紹介しますが、「オフショア開発.com」に寄せられる日本企業からの相談にも、これらの先端テクノロジー案件の割合は増加傾向にあります。
信頼性が高い!大手企業も利用している
近年では、DX推進における重要領域の拡大が大手企業を中心に喫緊の課題となっています。国内のIT人材の確保が困難をきわめる中、低コストで質の高い開発体制を確保できるオフショア開発が、課題解決の現実的な選択肢になっています。この点も、オフショア開発をおすすめできるポイントといえます。実際には、以下のような開発事例があります。
業態 |
依頼/開発内容 |
---|---|
輸送機械製造業のIT関連企業 |
販売チェーン管理システムのDXシフト |
総合商社(東証一部上場) |
自社開発の特定業種向けERPパッケージ用ワークフローシステムの開発 |
自動車部品製造大手企業 |
RFID(※)コードスキャン機器の組み込みソフトウェアのカスタマイズ |
大手電機メーカー系開発企業 |
特定業種向けSaaSサービスのマイグレーション |
※ERP:統合基幹業務システム
※RFID:電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム
▶︎弊社のお取引事例はこちらも参考にしてみてください。
→取引事例|オフショア開発を高品質・低コストで実現
オンショア・ニアショアとの違い
オフショア開発に対して「オンショア開発」「ニアショア開発」という用語もあります。それぞれどういう意味でしょうか。
「オンショア開発」は、オフショア開発の対義語で、自社内で完結させる開発体制のことをいいます。クローズドな開発体制のため、情報漏洩がしにくい、意思疎通が図りやすいなどのメリットがあります。
「ニアショア開発」は、自国内で、自社の本拠地とは離れた地方に開発拠点を置くことをいいます。東京など都市部への一極集中を是正し、地方への就労支援にもつなげるねらいもあります。
IT業界におけるオフショアとは?
IT業界におけるオフショア開発について、もう少し詳しく説明します。オフショア開発には大きく「ソフトウェアなどの新規開発業務」と「既存システムの保守業務」の2種類があります。
活用①ソフトウェアなどの新規開発業務
ソフトウェアやWEBシステム、アプリケーションなど、オフショア開発企業が実現できる新規開発案件は多岐にわたります。DXを背景にERPのような基幹システムの実績も増えています。事実、下記のような新規開発がオフショア開発によって実現されています。
- 社会インフラ管理システム(電気機器メーカーのITグループ企業)
- C2C人材マッチングサービスサイト(医療・介護系企業)
- ECサイトと連携可能な独自配送サービス(ITスタートアップ企業/物流サービス系)
- モバイルアプリのポイントシステム(不動産系企業)
- Webサイトのリニューアル(大手ショッピングモール)
活用②既存システムの保守業務
新規開発だけでなく、セットで保守・運用業務もオフショア開発企業が担うことで業務効率化を図る企業も少なくありません。
例えば、ゴルフを主軸にリテールビジネスやメディアビジネスを展開する企業では、ゴルフレッスン予約システムの運用保守業務の約7割をベトナムへ移管することによって、年間約2億円のコスト削減を実現しています。また、あるデジタルコンテンツ販売企業では、AWS構築によってフルスクラッチでECシステムを開発し、その後の運用もオフショアで行っています。また、定常的な作業をオフショアリングすることで自社員を新規ビジネスの推進等のコアビジネスに注力させることができることも大きなメリットです。
2021年版『オフショア開発白書』から読み解く最新トレンド
『オフショア開発白書』から解ること
ここからは、「オフショア開発.com」が毎年発行している『オフショア開発白書』の最新版である2021年版から、日本におけるオフショア開発の最新トレンドをダイジェストで読み解いていきます。
参照:オフショア開発白書
https://www.digima-japan.com/event-news/lp/offshore_hakusho_2021/
日本におけるオフショア開発の状況
2020年の1年間に「オフショア開発.com」に寄せられた、開発案件に関する相談を分析したところ、相談企業の規模別割合では10名以下の小規模企業の割合が56%と6割近くを占めており、2019年の40%から大幅に増加しています。また、1001名以上の企業の割合も、2019年の8%から14%へと大きく増加しました。
また、相談した企業の属性を「ベンダ」(クライアントから開発案件を受注している開発企業)と「エンド」(実際にその開発案件によってサービスを提供しようとしている企業)に分類すると、前者が35%、後者が65%となりました。近年ではベンダ企業の割合が増加傾向にありましたが、数年ぶりにエンド企業が増加に転じました。この傾向からは、「オフショア開発の一般活用」がベンダから一般のエンド企業にも普及していることがうかがえます。
オフショア開発の活用が進んでいる理由
「オフショア開発の一般活用」が進んでいる理由としては、以下のことが挙げられます。
➀日本エンジニアの高騰・リソース不足
1001名以上の大企業からの相談が増加した背景としては、これまで比較的充足傾向にあった大企業においても、新型コロナウイルス禍を経て国内ITリソース不足・単価高騰の問題が深刻化していることが考えられます。この問題が今後もが進んでいくことは明白で、ほとんどすべての日本企業がオフショア開発を導入せざるを得ない状況になると予想されます。
▼オフショア開発については、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→最新)オフショア開発のメリット・デメリットと注意点まとめ
➁コロナ禍でリモートワークの普及
また、コロナ禍の影響によって、多くの企業ではリモート環境での開発を余儀なくされましたが、その結果、リモートでの開発に抵抗がなくなり、その波及効果として海外リソースの活用にも前向きに検討され始めていることがうかがえます。
「DX推進をオフショア開発で」のススメ
続いて、オフショア開発における開発案件のランキングを見てみましょう。
出典:『オフショア開発白書(2021年版)』(オフショア開発.com
https://www.digima-japan.com/event-news/lp/offshore_hakusho_2021/ )
「オフショア開発.com」に寄せられた開発案件の相談内容として最も多かったのは「WEBシステム開発(サービス系)」で27%、同率で「スマホアプリ開発」が続いています。
一方で、3位の「WEBシステム開発(業務系)」、7位の「基幹系システム開発」で合わせて20%を占め、2019年の13%から大きく割合を伸ばしました。
大規模な業務システムの開発においてはプログラミング言語も特殊で、高度な人材が必要ですが、前述のとおりそうした高度IT人材を日本だけで賄えなくなってきている現状があります。DXの推進が各企業において喫緊の課題とされる中、業務システム開発においてもオフショア開発が有力な選択肢の一つになっていることを、この結果は示唆しています。
また、AI開発(5位/4%)やIoT開発(6位/4%)、ブロックチェーン(10位/1%)といった先端テクノロジーの開発案件も、割合こそ少ないですが着実に増えています。これらの開発案件に対応できる人材も、特にベトナムなどを中心に増えており、人材不足に悩む日本と逆転現象がいつ起きてもおかしくない状況にあります。こういったオフショア開発企業が、日本企業のDX推進を陰で支えています。
■関連記事:
オフショア開発の品質課題「コミュニケーションロス」
出典:『オフショア開発白書(2021年版)』(オフショア開発.com
https://www.digima-japan.com/event-news/lp/offshore_hakusho_2021/ )
「オフショア開発.com」が2021年2月に実施した『オフショア開発に関するアンケート調査』(調査対象:132社)によると、オフショア開発企業と国内開発企業、それぞれに対して感じる課題について質問したところ、前者では「品質管理」と「コミュニケーション力」、後者では「価格」を課題と感じる企業が多いことがわかりました。その一方で、「技術力」には、国内外企業で大きな差はみられませんでした。
この結果からは、オフショア開発の成否を左右するのは技術力ではなく、発注側・受注側双方のコミュニケーションと品質管理=PMにあるということが示唆されます。
出典:『オフショア開発白書(2021年版)』(オフショア開発.com
https://www.digima-japan.com/event-news/lp/offshore_hakusho_2021/ )
さらに、「オフショア開発を成功させる上で重要なこと」について質問したところ、圧倒的に「コミュニケーション」と回答する企業が多く、続く回答も「両者の信頼関係」「ブリッジSEの能力」となりました。ここでも、発注側・受注側双方のコミュニケーションとPM力が重視されていることがうかがえます。
以上の結果から、オフショア開発の成否を握るポイントは、発注側と受注側の関係性にありそうです。システムやアプリ開発においては、あらゆるトラブルの発生が想定されます。そうしたリスクを回避、あるいはリスクに直面しても対応していくためにも、コミュニケーションが円滑で、お互いに信頼でき、その結果PMがうまくいく企業を見つけることにこそ、成功のカギがありそうです。
オフショア開発ならコウェル!
「どこの海外の開発会社にオフショア開発を依頼すればいいのだろう…」
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開発実績としてはWebシステムの開発や業務システム・越境EC開発などが豊富です。
さまざまなニーズに応えた実績もあり、経験豊富なソフトウェア開発会社です。
「なるべくコストを抑えてソフトウェアを開発したい」
「納期が短いから国内のエンジニアだけでは難しい」
このようなお悩みがあれば、オフショア開発を検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
システムやアプリケーションなどの開発拠点を海外に置くオフショア開発。日本国内においても高度IT人材不足と人件費の高騰という供給面、そしてDXを背景としたシステム開発ニーズの高まりという需要面の両面から、オフショア開発に注目が集まっています。
これらの傾向は今後も当面続いていくでしょう。その中で、人件費を抑制しながら高度IT人材を活用できるオフショア開発が、大企業の中にも現実的な選択肢という認識が広がりつつあります。
また、オフショア開発市場ではベトナムなどを中心に健全な競争が促され、オフショア開発企業が対応しうる技術領域は拡大しています。近年ではAIをはじめ先端テクノロジーに関する開発案件も増加傾向にあります。一般的にデメリットとされているコミュニケーションの問題も、近年ではPM体制を強化し、改善に努めるオフショア開発企業は増えています。
自社でIT導入・活用を検討している際は、まずはいくつかのオフショア開発企業への相談・ヒアリングから始めてみてはいかがでしょうか。自社の課題や実現したいことにフィットする企業が、きっと見つかると思います。