デジタイゼーション完全ガイドー上場を視野に入れた中小企業必見!
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デジタイゼーションとは何か?
昨今のコロナウイルスの影響による業務体制の変換や働き方改革の実現に伴い、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation:DX)」という言葉を耳にする機会が増えました。それに関連する語句として「デジタイゼーション」や「デジタライゼーション」というワードも使われ始めました。
本章では、デジタイゼーションとはどういったものなのか、定義や重要性について解説します。
デジタイゼーション(Digitization)の定義と基本的な概念
デジタイゼーションとは、物理的な情報・データをデジタルデータに変換することです。経済産業省によると、「アナログ・物理データのデジタルデータ化」であると定義されています。
デジタイゼーションの目的とその重要性
デジタイゼーションの主な目的は、情報をデジタル化し、データを最大限に利活用することです。デジタルデータに変換することで、データの共有・検索・解析・保存が容易になり、作業の効率化が進みます。
またデジタイゼーションは、DX(デジタルトランスフォーメーション)への重要な第一歩であり、重要性の高いステップとされています。DXを導入するのは簡単なことではありませんが、以下の手順に沿って進めることで、企業はよりスムーズにDXを進めることが可能です。
- デジタイゼーション
- デジタライゼーション:デジタルデータを活用し、業務プロセスを最適化する
- DX:デジタル技術を全社的に導入し、ビジネスモデルを変革する。
このプロセスに従えば、DXを成功させるための土台をしっかりと築くことが可能です。
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デジタイゼーションの具体例
下表に、実際に行われているデジタイゼーションの具体的な施策例をまとめました。
施策 |
概要 |
紙書類の電子化 |
社内の報告書や企画立案書、会議の議事録、社外用のパンフレットやカタログといった書類をタブレットなどのデジタルデバイスに送信して使用することで、紙の出力を避けられます。 |
承認印の電子印鑑化 |
社内で使用する印鑑(例:承認印や検品済印など)を電子印鑑化することで、業務の効率化につなげられます。 |
電子書類のクラウド保存 |
書類を電子化したら、社内のシステムにクラウドストレージを設けて、そこに保存する業務フローを導入することで、メンバーとのファイル共有が容易になります。 |
会議のオンライン化 |
オンライン化することで会議の移動時間が不要になり、業務効率が向上します。 |
デジタライゼーションとの違い
デジタイゼーションと類似する言葉に、デジタライゼーションがあります。これらの用語はいずれもDX化を推進するうえで重要という点では共通していますが、それぞれ意味の異なる言葉です。
本章では、デジタイゼーションとデジタライゼーションの違いや、DXとの関連性などを解説します。
デジタライゼーション(Digitalization)の定義と基本的な概念
デジタライゼーションとは、一般的にデジタル技術を活用して製品・サービスの付加価値を向上することを意味します。経済産業省による定義は、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」です。
これまでアナログで処理していたものをデジタル化して新たな利便性を生み出したり、業務にデジタル技術を導入して効率化を図ったりといった取り組みのことをデジタライゼーションと呼んでいます。
参考:経済産業省「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)」
デジタイゼーションとデジタライゼーションの主な違い
デジタイゼーションとデジタライゼーションは、ともに「デジタル化」の概念を持つ言葉ですが、対象範囲に違いがあります。
デジタイゼーションは、ツール自体をデジタル化することを意味します。対照的に、デジタライゼーションは単なるツールだけでなく、業務全体をデジタルに変換することを意味しており、全体の業務プロセスのデジタル変革を目指します。
しかし、デジタル化・IT化・DXなどの用語は明確な差別化が難しく、場面によっては同じ意味として使われることもありますので、注意が必要です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)との関連性と違い
DXは、デジタイゼーションやデジタライゼーションとは異なるデジタル化の対象を持っています。デジタイゼーションは紙やツールのデジタル化を指し、デジタライゼーションは業務のプロセス全体のデジタル化を意味します。これに対して、DXはビジネスモデルのデジタル化を目指します。
DXはビジネスモデルのデジタル化により、従来の価値観を大きく変えることができます。これら3つの用語の中で、DXが最も大規模なデジタル化を表していると言えます。
前述のとおり、DX化は以下の順番で進められるのが一般的です。
- デジタイゼーション
- デジタライゼーション
- DX
アナログな手段を使用していた企業が、突然DXに取り組むのは難しいです。まずは、デジタイゼーションから始め、デジタライゼーションを経て、最終的にDXに取り組むと良いでしょう。
デジタイゼーションの効果
本章では、業務効率化や企業価値の向上といった観点から、デジタイゼーションの効果・利点を詳しくご紹介します。
デジタイゼーションがもたらす業務効率化の具体的な利点
そもそも業務効率化とは、業務における「無理・無駄・ムラ」を取り除き、効率的な業務遂行につなげるための施策を意味します。
デジタイゼーションは、企業の業務効率化を進めるうえで非常に効果的な手段です。下表に、デジタイゼーションの具体的な利点をまとめました。
利点 |
概要 |
情報共有の迅速化 |
デジタル化されたデータは、社内外の関係者間で瞬時に共有できます。これにより、情報伝達の速度が向上し、業務の遅滞が減少します。 |
データ検索の効率化 |
デジタイゼーションにより、データの検索が容易になります。電子ファイルの全文検索機能を使用することで、目的の情報を素早く見つけ出すことが可能です。 |
自動化による労力削減 |
デジタル化された業務は、RPAなどの技術を活用して自動化することが可能です。これにより、作業にかかる時間と労力を削減できます。 |
ワークフローの最適化 |
デジタイゼーションによって業務フローが明確になると、無駄な手続きやボトルネックを排除することが可能です。 |
リモートワークの実現 |
デジタイゼーションにより、社員がオフィスにいなくても情報にアクセスできます。リモートワークの導入が容易になり、社員の働き方の選択肢が広がります。 |
コスト削減 |
紙の使用が減少することで、プリンター・コピー機のコストが削減されます。 |
デジタイゼーションによる企業価値の向上
ここでは、デジタイゼーションが企業価値を向上させた例をご紹介します。
A社は、顧客データをデジタル化することで、マーケティング活動の効果を大幅に向上させました。デジタイゼーションによる具体的な効果は以下のとおりです。
- 顧客の購買履歴や属性情報が一元化され、ターゲティングが容易になった
- データ解析を活用し、適切なタイミングでのアプローチが可能となった
- マーケティング戦略の効果検証が容易になった
その結果、以下のような成果を生み出し、企業価値の向上につながっています。
- より効果的なマーケティング活動により、顧客の購買率が向上した
- 顧客満足度が向上し、リピート購入が増加した
- マーケティングの効果検証が容易となり、戦略の改善が進んだ
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デジタイゼーションを進める手順
本章では、実際にデジタイゼーションを進める際の具体的な手順を解説します。
デジタイゼーション計画の作成
まずは、以下のような手順でデジタイゼーション計画を作成しましょう。
手順 |
ポイント |
現状の分析・把握 |
まず、自社のビジネスを分析することから始めましょう。自社の業務の流れ・商品・サービスなど、現在の状況をよく把握します。特に問題点や改善が必要な部分、デジタル化が進んでいない部分に焦点を当て、分析することが大切です。 |
課題の発見・整理 |
分析の結果、課題が見えてきたら、それを整理してリスト化しましょう。例えば、効率の悪い業務・統合可能な作業・従業員や顧客からの不満・自社の理想と現状のギャップなどが挙げられます。課題の大小に関わらず、すべての課題を一覧にしましょう。 |
目標設定 |
リスト化した課題の中から、どれをどの程度改善すべきかを考え、目標を設定します。その際、デジタル技術やツールをどのように利用できるかを検討し、必要なリサーチも行います。改善の目的や効果測定の基準も明確にしておくと、取り組みの方向性がブレません。 |
計画の策定 |
ここまでの情報をもとに、デジタル化の計画を立てます。主に以下の観点で、デジタイゼーションの具体的な計画を策定します。
|
デジタイゼーションの実施フロー
計画策定後は、以下のような手順でデジタイゼーションを実施していきます。
手順 |
ポイント |
デジタイゼーションの実施 |
デジタルツールを用いて、実際に業務のデジタイゼーションを進めていきます。効率の改善やコスト削減が見込まれる部分から順番にデジタイゼーションを進めましょう。 |
効果測定 |
デジタイゼーションの効果を測定します。業務に関連するKPI(重要業績評価指標)などの指標を定期的に確認し、効果を可視化しましょう。 |
改善・最適化 |
効果測定の結果を元に、デジタイゼーションの改善・最適化を行います。継続的な改善を通じて、ビジネスの競争力を高めましょう。 |
デジタイゼーション推進のポイント
本章では、デジタイゼーションを効果的に推進するうえで役立つポイントを解説します。
デジタイゼーション成功のための要素
デジタイゼーション成功に欠かせない要素は、主に以下の3つです。
要素 |
留意点 |
リーダーシップ |
リーダーが積極的に取り組みを推進することで、チーム全体が一致した方向に進むことが可能です。リーダーが変革を先導することで、他のスタッフの変革に対する抵抗が減少し、より積極的にデジタイゼーションを進められます。 |
チーム作り |
デジタル技術・データ分析・業務知識などの専門スキルを持ったメンバーを集め、強力なチームを作りましょう。 |
技術選定 |
技術選定はビジネスのニーズ・目標に基づいて行いましょう。最新の技術を追い求めるのではなく、自社の現状や将来的な展望に合った技術を選定することが重要です。 |
デジタイゼーションを推進する際のチェックポイント
下表に、デジタイゼーションを効果的に進めるための主要なチェックポイントを列挙し、留意点をまとめました。
チェックポイント |
留意点 |
ビジョンの明確化 |
どのような状態を目指すのか、デジタイゼーションを通じて何を達成したいのかを明確に定義しましょう。 |
現状の分析 |
どの部分が非効率的で、どの部分がデジタル化されていないのかを洗い出すことが重要です。 |
課題の洗い出し |
現状の分析から、デジタイゼーションを進めるための課題を洗い出します。 |
プロジェクトチームの設立 |
メンバーの役割と責任を明確にし、専門家を含めたバランスの取れたチームを結成します。 |
技術の選定 |
最新の技術を追い求めるのではなく、自社のニーズに合った技術を選定することが重要です。 |
実施計画の策定 |
各手順の流れ、タイムライン、担当者、予算などを明確にしましょう。 |
効果測定と改善 |
デジタイゼーションを進めた後、効果を測定し、改善を進めましょう。 |
効果的なデジタイゼーション推進のためには?
そのほか、効果的なデジタイゼーションを推進するためには、以下のようなポイントを把握・実践することも大切です。
ポイント |
留意点 |
組織全体で取り組む |
一部の業務だけをデジタル化しても、他の関連業務がデジタル化されていないと、効率やコスト削減の恩恵が得られません。デジタルに慣れていない従業員がいる場合、研修やサポートを提供して、抵抗感を取り除きましょう。 |
デジタル化できる業務を整理する |
現場の声を聞きながら、デジタル化に適した業務を見極めてください。デジタル化に向かない業務を強引にデジタル化すると、逆に効率が低下することもあります。 |
優先順位を明確にする |
さまざまな業務を同時にデジタル化するのは、コストや人的リソースの面で大きな負担となります。デジタル化できる業務を整理した後、どの業務からデジタル化を進めるか、優先順位を設定して推進してください。 |
デジタイゼーションの実践
最後に、デジタイゼーションの実践に焦点を当てて、具体的なステップや評価方法などを解説します。
デジタイゼーションを進めるための具体的なアクションステップ
以下に、デジタイゼーションを進めるための具体的なアクションステップをまとめました。
アクションステップ |
留意点 |
現状の業務フローを確認する |
どの業務が時間を取っているのか、どの業務が効率的でないのかを把握しましょう。 |
デジタル化に適した業務を特定する |
デジタル化に適した業務を特定するために、現場の声を聞き、優先順位を決めてください。 |
適切な技術・ツールを選択する |
業務の特性や必要な機能に応じて、適切なツール・技術を選択しましょう。 |
プロトタイピングを行う |
新しいシステムを導入する前に、プロトタイプを作成してテストを行うことが重要です。これにより、システムの適合性や問題点を事前に確認できます。 |
従業員へのトレーニングを実施する |
デジタル化された業務をスムーズに進めるには、従業員へのトレーニングが必要です。新しいシステムの使い方を徹底的に教え、従業員が使いこなせるようサポートしましょう。 |
チームや組織でのデジタイゼーション推進のコミュニケーション方法
チーム・組織でデジタイゼーションを効果的に推進するためのコミュニケーションとしては、オープンな意見交換の実践が望ましいです。
デジタイゼーションは従業員全員の協力が必要です。定期的なミーティングを開催し、オープンな意見交換を行うことで、従業員の提案や気づきを生かせます。
デジタイゼーションの成果を評価・可視化する方法
デジタイゼーションの成果を評価・可視化することは、組織の成長にとって重要です。ここでは、効果的な評価・可視化の手順を紹介します。
手順 |
留意点 |
KPIを設定 |
業務効率・コスト削減・売上向上など、デジタイゼーションに関わるKPIを設定します。 |
データの収集・分析 |
業務の効率化、コスト削減、売上の変動などのデータを分析することで、デジタイゼーションの成果を評価できます。 |
従業員のフィードバックを収集 |
デジタイゼーションに関わる従業員のフィードバックを収集し、成果の評価に活用します。従業員の意見や提案を参考に、デジタイゼーションの進め方を改善します。 |
外部の評価を受ける |
独自の視点でデジタイゼーションの成果を評価することは重要ですが、外部の視点も必要です。業界の専門家やコンサルタントから評価を受けることで、客観的な評価が得られます。 |
まとめと次のステップ
デジタイゼーションは前述の通り、物理的な情報・データをデジタルデータに変換することです。一般的に、以下の手順で進めていきます。
- 現状の分析・把握
- 課題の発見・整理
- 目標設定
- 計画の策定
- デジタイゼーションの実施
- 効果測定
- 改善・最適化
デジタイゼーションの効果を最大限に活用するためのまとめ
デジタイゼーションの効果を最大限に活用するためには、以下のポイントを実践しましょう。
- KPIを設定
- データの収集・分析
- 従業員のフィードバックを収集
- 外部の評価を受ける
実績のある外部企業に業務の一部をアウトソースすると、早急かつ効果的に進めていけるためおすすめです。
今後のデジタイゼーション推進のための推奨行動
デジタイゼーションを始めるにあたっては、自社業務の整理・分析が必要です。そのためには、外部の専門家やコンサルタントを頼ることも、アプローチの一つとして考えられます。
どのような手順で進めるかを決定するために、本記事を参考に実践の方法を把握したうえで、実績が多い会社に相談することをおすすめします。
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