RPA導入の全て!成功するためのポイントと注意点
目次[非表示]
- 1.RPAとは?
- 1.1.RPAの基本的な定義
- 2.RPAブームの社会的背景
- 2.1.テクノロジーの進歩とRPA
- 2.2.企業の業務効率化のニーズ
- 3.RPA導入の現状
- 3.1.国内外のRPA導入状況
- 3.2.RPA導入企業の特徴
- 4.RPA導入の課題
- 4.1.技術的課題
- 4.2.組織・人材の課題
- 4.3.コストとROIの課題
- 5.RPA導入のメリット、RPA導入のデメリット
- 5.1.RPA導入による業務効率化のメリット
- 5.2.RPA導入によるコスト削減のメリット
- 5.3.RPA導入に伴うデメリットとその対策
- 6.RPAが効果的な業務(業務範囲)
- 7.RPA導入による成功事例・失敗事例
- 7.1.RPA導入成功事例の紹介とその要因
- 7.2.RPA導入失敗事例の紹介とその教訓
- 7.3.RPAの導入フロー
- 7.4.RPA導入の一般的なプロセス
- 8.RPAの導入におけるポイントと注意点
RPAとは?
近年、業界を問わず、さまざまな企業で注目され・話題になっているRPA。
業務効率化を目的に導入する企業が増えていますが、RPAとはどういったものなのでしょうか。基礎知識を持ったうえで、導入に向けた一歩を踏み出したいものです。
まず本章では、RPAとは何を表す言葉なのか、基本的な定義について解説します。
RPAの基本的な定義
RPAとは、ソフトウェアロボットを使って、コンピュータやクラウド上での業務を自動で行う技術のことです。内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の資料によると、「端末上で行う作業を自動化することができるソフトウェア又はSaaS等の形態のプラットフォーム」であると定義されています。
参考:内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室「RPA 導入実践ガイドブック」2021年(令和3年)3月30日
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RPAブームの社会的背景
現在、RPAはさまざまな企業が導入している状況です。本章では、RPAブームに潜む社会的な背景について解説します。
テクノロジーの進歩とRPA
昨今のテクノロジー進展とデジタル化が、人手で行われていた作業の自動化を促進しています。従来、自動化にはプログラミングが必要でしたが、RPAの導入でIT専門知識がない部門でも作業自動化が可能になり、RPAの使用が拡大しています。
企業の業務効率化のニーズ
近年、企業は競争が激化する中で、業務効率化が必須となっています。効率化は、生産性の向上と利益拡大に直結する重要な要素です。
RPAは、この業務効率化の要請に対する一つの解答として注目されています。RPAを活用することで、ルーチンな作業や時間のかかるタスクを自動化し、より効率的な業務運営が可能となります。
RPA導入の現状
本章では、企業におけるRPA導入の現状について解説します。
国内外のRPA導入状況
「RPA国内利用動向調査2022」の結果によれば、日本の大手企業(年商50億円以上)の約45%がRPAを導入していますが、年商50億円未満の企業では導入率は12%に留まっています。それでも、今後数年でRPAの利用が拡大し、さらに普及すると見込まれています。
RPAの導入は日本だけでなく、海外でも盛んに行われています。ただし、日本と海外のRPA導入には、異なるアプローチが見られます。
日本では「ボトムアップ」アプローチが多く採用されています。これは、現場の従業員の意見やフィードバックを基に、RPAの導入を進める手法です。一方で、海外では「トップダウン」アプローチが主流で、経営陣や上層部が導入の方向性を決定します。
どちらが優れているかは一概には言えませんが、日本と海外でのRPA導入の手法が異なる点は、国際的なビジネスを行う際に考慮すべき事項となるでしょう。
参考:株式会社MM総研「RPA国内利用動向調査 2022(2022年9月時点)」
RPA導入企業の特徴
以下に、RPAを導入している企業でよく見られる特徴とその解説をまとめました。
特徴 |
解説 |
働き方改革を推進している |
働く人たちの多様なニーズに応えるため、働きやすい環境作りを進めています。 |
生産性を向上させたい |
RPAの導入によって、人手が不足しても生産力を維持・向上させる方法を模索しています。 |
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RPA導入の課題
本章では、企業がRPA導入に際して遭遇しがちな3つの課題について解説します。
技術的課題
RPAの魅力は「プログラミング不要」であることですが、実際には設定に手間がかかる場合も少なくありません。意図した通りに動作しない時に適切な設定変更が分からず、導入が頓挫するケースも珍しくありません。
組織・人材の課題
前述のとおり、RPAはプログラム言語の知識がなくても導入できるとされていますが、それでもITの知識を持っている人材が社内にいると、導入や運用がスムーズです。
例えば、エラー発生時や業務変更時、システム更新時には、ITの知識があると迅速に対応可能です。
また、RPAを導入した従業員が異動や退職することも考えられます。その場合、RPAが行っている業務内容やシナリオ、さらにはRPAツール自体の知識も引き継ぎが必要です。これらの対策が不十分だと、RPA導入の効果を十分に活用できない状況が生じてしまいます。
コストとROIの課題
RPA導入には、システム導入費用、ライセンス料、保守・運用費用など一定のコストが発生します。そのため、どの程度の利益を得られるか(ROI:投資対効果)を検討することが重要です。
ROIを高めるための適切な戦略を実行することで、コストを上回る利益を実現できます。
RPA導入のメリット、RPA導入のデメリット
本章では、RPAを導入する場合のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
RPA導入による業務効率化のメリット
RPAを導入することで業務効率化が期待される主な点は、以下のとおりです。
メリット |
解説 |
作業時間の削減 |
入力作業やデータのコピーアンドペーストなど、一定のルールに基づく繰り返し作業を自動で行えるようになり、業務にかかる時間を大幅に削減できます。 |
人手不足の解消 |
人手不足の問題を緩和できるため、従業員がより付加価値の高い業務に集中できます。 |
エラーの削減 |
RPAは一度設定されたら、同じ作業を正確に繰り返すため、エラーが大幅に減少します。 |
業務の標準化 |
作業ルールの設定により、業務の標準化が進みます。 |
RPA導入によるコスト削減のメリット
RPAを導入することで、単純な作業が自動化されるため、人件費や採用費、教育費などの削減が期待できます。一度業務手順を丁寧に設定するだけで、RPAはその手順に基づいて自動で正確な業務を継続してくれます。残業代や福利厚生費、コミュニケーションにかかるコストも削減できるでしょう。
RPA導入に伴うデメリットとその対策
RPAは事前に指示された作業しか対応できず、AIのような判断能力を持っていません。予定外の作業には柔軟に対応できず、設定ミスがある場合でも自ら気付くことはできません。その結果、間違った指示のまま作業を繰り返してしまうことがあります。
このデメリットに対処するための一つの方法は、半自動化です。RPAには「人間の動作を待つ」というコマンドがあります。これを利用することで、特定の段階で人間が介入し、その後はRPAに作業を続けさせることが可能です。
例えば、Webページで認証が必要な際に、スマートフォンで受け取ったパスコードを人間が入力することで、その後の作業をRPAが自動で行うといった設定が可能です。
RPAが効果的な業務(業務範囲)
続いて、RPAが特に効果を発揮する業務について、詳しく解説します。
RPAが最も効果を発揮する業務例
RPAが最も効果を発揮する業務例を下表にまとめました。
最も効果を発揮する業務 |
具体例 |
一連の流れが決まっている業務 |
|
同じ動作を繰り返す業務 |
|
Web上から情報を集計する業務 |
|
RPA導入を検討する際の業務選定のポイント
RPAを導入する際に業務を選定するポイントは、大きく2つあります。1つ目は「何を目的としてRPAを導入するのか」、2つ目は「技術的にRPAで自動化できる業務かどうか」です。
付け加えると、自動化する業務を選ぶためには、RPAに関する知識だけでなく、業務内容に関する深い知識も必要です。
つまり、RPAを導入する側(RPA推進組織)と、実際の業務を行っている側(現場組織)が協力して、RPAで自動化する業務を選定する必要があるのです。
RPA導入による成功事例・失敗事例
本章では、RPA導入の成功事例と失敗事例をご紹介します。
RPA導入成功事例の紹介とその要因
RPA導入成功事例として、サッポロビール株式会社の事例を紹介します。
同社は小売業者から得られるPOSデータを集計するために、RPAを導入しました。
POSデータには、どの商品がいつ売れたかなどの情報が含まれており、これを使って顧客の動向を分析したり、マーケティング施策を立てたりすることができます。
このPOSデータを集計する作業は、以前は非常に手間がかかるものでした。店舗ごとに使っているソフトウェアやサービスが異なり、データがダウンロードできるタイミング、データのフォーマット、ダウンロードの手順などが異なっていたからです。そのため、集計作業は非常に複雑で、ミスが発生しやすく、時間がかかっていました。
しかし、RPAを導入することで、店舗の状況に合わせてPOSデータの集計が毎日自動で行われるようになりました。その結果、年間5,700時間の労働時間が削減され、金額に換算すると1,100万円もの節約に成功したとのことです。
上記の事例において、RPAの導入成功に至った要因としては、以下の点が考えられます。
- 社内での用途を明確化したこと
- 目標を具体的に設定したこと
- 運用体制を定めたこと
- 導入前後のサポートが充実している会社に依頼したこと
参考:東洋経済オンライン「RPAの活用で、サッポロビールに年間約1100万円の削減効果」
RPA導入失敗事例の紹介とその教訓
企業がRPAを導入する際の失敗事例としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 業務の流れを明確にしないままRPAを導入し、効果が得られない
- 経営陣と現場での認識のズレから、RPAの活用が進まない
- 適切な業務体制が整っておらず、無秩序な状態でRPAが運用される
これらの失敗事例をもとに、RPA導入で成功するための教訓を以下にまとめました。
- 事前に業務プロセスを可視化し、どの部分を自動化することでどのような効果が期待できるかを明確にする
- 経営陣から現場にかけて、RPA導入の意義をしっかりと伝え、共通の理解を持つようにする
- きちんとした業務体制を整え、マニュアルなどを用意して作業の一貫性を保つことで、RPAが効果的に機能するようにする
以上のようなポイントを考慮してRPA導入を進めることで、成功する確率が格段に上がります。
RPAの導入フロー
RPAの基本的な導入フローは以下のとおりです。
- 対象業務の洗い出し
- RPAツールの決定
- トライアルの実施
- 効果測定・課題検証
- 本格的な導入
- 運用・保守
RPA導入の一般的なプロセス
下記に、RPA導入に際して一般的に行われるプロセスをまとめました。
プロセス |
解説 |
対象業務の洗い出し |
どの業務がRPAによって効率化できるのかを見極め、削減できる時間を見積もりましょう。 |
RPAツールの決定 |
機能だけでなく、コストや導入工数も考慮して選びます。 |
トライアルの実施 |
最初に選んだ業務から、シンプルでロボットの作成が容易なものを選び、トライアルを行います。 |
効果測定・課題検証 |
トライアルの結果から、自動化によって業務が効率化されるかを確認し、問題があれば解消しましょう。 |
本格的な導入 |
必要な環境を整えてツールを導入し、社内での説明を行います。その後、業務自動化を開始します。 |
運用・保守 |
日常の管理や問題発生時の対応方針を決めます。導入がゴールではなく、継続的なメンテナンスが必要です。問題が起きたときの対応方針を事前に決めておくことが重要です。 |
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RPAの導入におけるポイントと注意点
最後に、RPAの導入にあたって意識しておくべきポイント・注意点を解説します。
RPA導入プロジェクトの成功要因
下表に、RPA導入プロジェクトの主な成功要因をまとめました。
要因 |
解説 |
業務フローの明確化 |
業務を整理し、それに合わせたRPAツールを選ぶことで、RPAの効果を最大限に引き出すことが可能です。 |
スモールスタートの実践 |
まずは小規模から試験的に導入することで、目的や目標を明確に設定しやすく、効果の確認も容易になります。 |
サポート力のあるベンダー選定 |
何か問題が発生した際に迅速に対応してくれるベンダーを選ぶと、安心してRPAの運用を続けられます。 |
RPA導入における一般的な落とし穴とその対策
下表に、RPA導入における一般的な落とし穴と、その対策をまとめました。
落とし穴 |
対策 |
RPAは全ての業務に適しているわけではない |
手順が明確で人間の判断が必要ないもの等、導入に適した業務を対象とする。 |
RPAが対応できる業務が限られていると、その効果も制限される |
既存のシステムとの相性を確認しつつ、最大限活用するための連携方法を検討する。 |
野良ロボット(管理者がいないRPA)が発生するおそれがある |
マニュアルを作成したり、運用体制やルールを整備したりする。 |
RPAの導入を成功させるには、優良なベンダーのサポートが必要不可欠です。RPAの導入を検討する際は、業務の棚卸しや開発・保守まで一括で相談できる、実績が多い会社に相談してみることをおすすめします。
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