オフショア開発でベトナムが選ばれる理由7選!ベトナムのオフショア開発の現状も解説
目次[非表示]
- 1.オフショア開発先としてのベトナムの現状や特徴
- 1.1.開発スキル
- 1.2.使用する自然言語
- 1.3.エンジニアの待遇・福利厚生
- 1.4.オフショア開発の競合はタイムゾーンの近い国
- 2.ベトナムとオフショア開発各国との比較
- 3.オフショア開発でベトナムが選ばれる7つの理由
- 3.1.①人件費を抑えられる
- 3.2.②優秀かつ若いIT人材を豊富に抱えている
- 3.3.③日本語でやりとりできる人材が多い
- 3.4.④地理・環境面で利便性が高い
- 3.5.⑤マーケット開拓先としても知名度が高い
- 3.6.⑥国民性が親日かつ勤勉
- 3.7.⑦インフラ環境が安定している
- 4.オフショア開発でベトナムを選ぶ際の注意点
- 4.1.あらかじめ品質基準を共有しておく
- 4.2.情報伝達時における解釈の相違を防ぐ
- 4.3.ベトナムの文化・国民性に配慮する
- 5.ベトナムでオフショア開発を進める際にかかる費用・人月単価の傾向
- 6.ベトナムでオフショア開発企業を選定する際のポイント
- 7.まとめ
オフショア開発先としてのベトナムの現状や特徴
オフショア開発とは、技術的な開発を海外の子会社や開発会社に委託することですが、これまでの歴史を遡ると2012年頃から日本と中国間の政治的な関係性から、『チャイナリスク』の観点から中国一本だったオフショア開発先を、ミャンマーやベトナムといった国に切り替える、あるいは、2つの国でオフショア開発を行う会社が増えてきました。
その後、2018年頃には経済産業省による、「2025年 DXの崖」という言葉広く知られるようになり、ITエンジニア不足が予想されることから、多くの会社がオフショア開発に取り組み始めました。
そこで近年、オフショア開発先として大きな注目を集めているベトナムの現状や特徴を解説します。
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開発スキル
ベトナムのエンジニアには、ReactやLaravel、Java、C#などを扱える人材が多いため、多様な開発ニーズに柔軟に対応できます。中には、国営企業の開発に携わった経験のある人材やフルスタックエンジニアも多くいます。
以前ではよく見られた「開発できると聞いていたものの、HTMLしか扱えないエンジニアばかり」という状況は、現在では珍しくなっています。
使用する自然言語
日本語でベトナム人エンジニアとやりとりして開発を進めるイメージを持つ方が多いものの、ベトナムでは日本語を話せる人材は少数です。
市場に多い比率としては【ベトナム語のみを話すエンジニア】、次に【英語とベトナム語のできるエンジニア】となり、【ベトナム語と日本語を話すエンジニア】はごく僅かです。
そのため、通称:“コミュニケーター”と呼ばれる、ITC(Information Technology Communicator)や通称:“BSE”と呼ばれる、開発の知識と日本語を話せる能力を持つブリッジSEなどの職種があり、ベトナム語を日本語(英語)に翻訳しています。
彼ら役割は、ベトナム人エンジニアと日本人の橋渡しを担うオフショア開発に重要性な存在です。ブリッジSEの中には、日本留学の経験をもつなど、日本文化に理解を示す人材もいますが、日本語スキルは人により差があるので注意が必要です。
エンジニアの待遇・福利厚生
ベトナム人は家族を大切にする傾向があり、エンジニアに対する待遇・福利厚生の充実したベトナム企業が多いです。扶養家族にも適用される医療保険を設けるほか、家族に向けた経営者直筆の感謝の手紙を送ったり、社員旅行に家族も招待したりする企業も見られます。
企業に対する家族の理解や満足度を得られなければ家族から転職を勧められるエンジニアも多いため、従業員だけでなく従業員の家族からの満足度も意識しなければなりません。
オフショア開発の競合はタイムゾーンの近い国
オフショア開発の拠点は、タイムゾーンの近い国の企業が競合する傾向があります。ベトナムにおけるオフショア開発では、ベトナム国内のほか、オーストラリア・日本・中国・韓国などの企業が競合しています。
ベトナムとオフショア開発各国との比較
ベトナムおよびその他の主要なオフショア開発国の特徴・魅力を以下の比較表にまとめました。
国名 |
主な特徴・強み |
ベトナム |
・高い業務実績とコスト抑制のバランスに優れている。 ・開発言語、スキルが幅広く、開発の選択肢が豊富。 |
ミャンマー |
・ベトナムに続いてコスト削減効果が期待される国。 ・勤勉かつ協調性のある国民性で、日本人との相性も良好。 |
インド |
・主に欧米企業のオフショア先として圧倒的な業務実績を持つ。 ・基幹系システムにも対応できる技術力の高さが魅力。 |
バングラデシュ |
・国策としてICT産業の育成に注力し、企業誘致や人材育成も積極的に行われている。 ・IT人材を豊富に抱えており、オフショア開発先として今後の成長に大きな期待が寄せられている。 |
フィリピン |
・英語によるコミュニケーションに強みがある。 ・海外進出やグローバル化を図るうえで、有望なオフショア先のひとつ。 |
中国 |
・日本語を話せる人が多く、優秀なITエンジニアの数も多い。 ・近年は人月単価が上昇しており、オフショア開発先としてコストが見合わなくなってきている。 |
オフショア開発でベトナムが選ばれる7つの理由
数あるオフショア開発先の中でベトナムが選ばれる理由を7つ紹介します。
①人件費を抑えられる
ベトナムの賃金水準は日本の1/2~1/3程度とされています。そのため、オフショア開発におけるエンジニアの人月単価も、日本と比べると安く抑えられます。エンジニア1人ひとりの能力が優秀であるにもかかわらず人件費が安く済むのは、ベトナムをオフショア開発先に選ぶ大きなメリットです。
費用・人月単価の傾向は、「ベトナムでオフショア開発を進める際にかかる費用・人月単価の傾向」にて後述しておりますので、そちらもご覧ください。
②優秀かつ若いIT人材を豊富に抱えている
「スキルの上昇が、給与に明確に反映される」という社会環境から、ベトナムには優秀なエンジニアが数多くいます。
大学などの教育機関におけるIT教育も盛んに行われ、一部の大学では、将来プログラマーとしてキャリアを築くことを前提としたプログラミング授業があるのに加え、IT企業へのインターン(数ヶ月に渡る実務経験)がほぼ必須とされています。こうした国策のIT人材育成教育の土壌があるため、日本の新卒エンジニアとベトナムの新卒エンジニアを比べると、社会人スタート地点から技術的な差が見られることもあります。
中には、Unityを使ったAndroidやiOS向けのスマートフォンアプリ開発やJavaScript、React.js、Backbone.js、AngularJS、jQuery、React Nativeなどを使ったSingle-page application・フロントエンド開発、Rubyを使ったバックエンド開発など、日本国内でのエンジニア採用が難しいとされる言語技術を持つIT人材も多く存在します。
また、人口が増加傾向にあることや、政府によるIT支援が積極的に実施されていることなどを踏まえると、今後も優秀で若いIT人材が増えていくものと予想されています。
③日本語でやりとりできる人材が多い
日本では全留学生のうち、ベトナム人留学生の数が中国に次いで多いです。日本語が話せるベトナム人の若者も、増加傾向にあります。
日本学生支援機構(JASSO)が発表した2021(令和3)年度外国人留学生在籍状況調査結果 によれば、ベトナム人留学生は、全留学生の20.4%を占めており、中国に次いで第2位につけています。
また、ベトナムの義務教育では、英語と並ぶ第一外国語に日本語が選ばれており、ベトナムと日本の親和性は高いです。日本語で会話できることは、オフショア開発をスムーズに進めるうえで大きなメリットがあります。
④地理・環境面で利便性が高い
地理・環境面でも、ベトナムは日本企業のオフショア開発先として適した国だといえます。
地理面の主なメリットは、ベトナムと日本の時差がわずかマイナス2時間であることです。これにより、WEBミーティング時間の考慮など時差による負担の増加を最小限に抑えられます。航空交通システムの発展により、直行便であれば飛行時間も5~6時間程度しかかかりません。
環境面の主なメリットは、ベトナムの方が日本よりも営業日数が長いことです。ベトナムは、祝日が日本よりも少ないです。そのため、同じ期間でもベトナムの方が、開発日数を多く確保できます。
その他、ベトナムの社会情勢にも注目が必要です。他の新興国に比べたベトナムは「治安良好」で、デモなどがあまり起こらない安定した社会情勢のため、反日デモなどの政治的リスクを中国などの他のオフショア開発国ほど心配せずに仕事を依頼できます。 オフショア開発に取り組む際に事前に出張や現地滞在を行うなど、密にコミュニケーションを取る上で、この点は非常に重要です。
⑤マーケット開拓先としても知名度が高い
ベトナムでは、安定した経済成長と国民の所得向上に伴い、富裕層や中間層が増加傾向にあります。これに伴い、ベトナムをマーケットの開拓先と捉え、すでに多くの企業が参入しています。
とはいえ、いきなり現地法人を設立するのではなく、オフショア開発を通じて現地の実情を把握したうえで海外進出を狙った方が、リスクや費用を抑えながら長期的な成功確率を高められます。
オフショア開発先にベトナムを選べば、開発だけでなく、ベトナムの現地情報を収集できます。得た情報を活用しながら、ある程度経験を積み自社開発に慣れ親しんだエンジニアと一緒に、オフショア開発の成果物のベトナム語版を開発したり、ベトナム向けにローカライズし、現地マーケットでテストを実施したりすることも可能です。
⑥国民性が親日かつ勤勉
ベトナム人には、向学心が旺盛で勤勉な人が多くいます。ベトナムの若い世代には、自分がしっかり働いて高い給料を得て、家族を養おうと考える人が多いためです。給料の高い企業に務めるために、常日頃からスキルアップを図るエンジニアも多くいます。
⑦インフラ環境が安定している
ベトナムは、道路・港湾・治水等や情報通信のインフラ整備に非常に注力している国でもあります。光回線が普及し、回線速度が比較的安定しており、Wi-Fiを無料で利用できるレストランやカフェもあります。
ビジネスに必要不可欠なインフラ環境が整備されている点も、オフショア開発先として大きなメリットです。
オフショア開発でベトナムを選ぶ際の注意点
さまざまなメリットが期待されるベトナムですが、オフショア開発でベトナムを選ぶ際には、以下3つの点に注意する必要があります。
あらかじめ品質基準を共有しておく
オフショア開発先との間で、成果物について完成品として判断する基準に差異が生じることがあります。トラブルを避けるためにも、プロジェクト開始前に、ベトナム人エンジニアと品質の基準についてよく話し合い、意識を統一しておきましょう。ベトナム人は真面目で熱意のある人が多く、基準を事前に共有しておけば、制作物の仕上がりに関するトラブルを未然に防げる可能性が高いです。
情報伝達時における解釈の相違を防ぐ
オフショア開発を進めるうえで、ベトナム人エンジニアが日本語の微妙なニュアンスを理解できないこともあります。エンジニアに委託側の意図が完全に伝わっていると安易に判断せず、綿密にコミュニケーションを取りましょう。特に重要な内容については、念入りに確認することが大切です。
ベトナムの文化・国民性に配慮する
外国企業を相手にする際は「日本の常識が必ずしも世界の常識と合致するわけではない」ことを念頭に置いておきましょう。お互いの文化を理解して歩み寄り、委託側・受託側の双方にとって、最良の方法を模索することが大切です。
ベトナムでオフショア開発を進める際にかかる費用・人月単価の傾向
ベトナムにおけるオフショア開発の人月単価は下表のとおりです。
人月単価 (万円) |
プログラマー |
シニアエンジニア |
ブリッジSE |
PM |
ベトナム |
31.73(-13.3%) |
39.88(-7.2%) |
51.34(+5.6%) |
57.94(-7.5%) |
※()内は前年比。
出典:株式会社Resorz オフショア開発. com「【2022年最新版】ベトナムオフショア開発の人月単価相場」
前年比でブリッジSEのみ人月単価が上昇しましたが、ベトナムではいずれの職種でもエンジニアを豊富に抱えているため、全体的に単価上昇が抑えられている状況です。
ベトナムでオフショア開発企業を選定する際のポイント
最後に、ベトナムでオフショア開発企業選びを成功させるためのポイントを紹介します。
類似する案件の実績を持っているかどうか
類似案件の実績がある企業では、応用可能なノウハウや技術、アプリケーションが蓄積されている場合が多く、コスト抑制や品質の高さが見込まれます。オフショア開発を検討する際は、開発プロジェクトにおける委託業務の内容を洗い出したうえで、委託先となる企業の実績を確認しましょう。
担当者の対応に不満な点はないかどうか
開発企業側の担当者の対応に不満な点があると、結果的にオフショア開発の失敗につながりやすいです。
例えば下記のような点に気を付ければ、開発プロジェクトを成功させやすくなるので、留意しておきましょう。
- 開発企業の担当者やブリッジSEのフットワークが軽いこと
- 開発企業の担当者に開発知識が十分にあること
- 開発企業の担当者が信頼できることなど
まとめ
<なぜ、ベトナムオフショア開発なのか>
新卒で採用したITエンジニアの育成が1~2年で出来るほど簡単ではないように、オフショア開発も費用を抑える点だけの寄せ集めのチームでは、プロジェクトがうまくいくはずもありません。
オフショア開発活用は、30年程前から始まったITエンジニア不足に対する解決手段ではありますが、実際のところ「成功している」と言い切れる会社が少ないのも事実です。
近年ベトナムは、人件費を抑制できる点や、優秀かつ若いIT人材を豊富に抱えている点などを理由に、オフショア開発先として人気を集めています。しかしオフショア開発では、成果物について完成品として判断する基準に差異が生じたり、情報伝達時の解釈に相違が生じたりするリスクもあります。
ベトナムは政府の支援により優秀なIT人材が豊富(平均年齢30.9歳、IT従事者35万人)、インフラ環境に優れ(4G網の人口カバレッジ95%)、勤勉で親日の国民性、日本に比べて1/3程度のコスト、日本との時差-2時間など、オフショア拠点として非常に優れています。
また、これまでのオフショア開発国としての成熟度やマネージメントの経験値の高さ、基礎技術の理解、大学などでの教育体制の確保、社会的責任に対する国民の理解、様々な条件が時間を経て成熟し、今日に至っています。
ご紹介した注意点を十分に理解し、実践して、日本企業にとってオフショア開発先国としての最適なベトナムでのオフショア開発の成功を目指しましょう。
当社では、中でも日本企業のオフショア開発に最も適した国として注目されているベトナムハノイ・ダナンに開発拠点を持ち、お客様のオフショア開発への取り組みを支援しています。
なお、コウェルに関する詳細資料は以下でダウンロードすることが可能です。
このほか、弊社の具体的なサービスや導入事例については以下をご覧ください。
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