【2023年版】オフショア開発の最新動向!委託先として人気の国や選び方・人月単価の比較も紹介
目次[非表示]
- 1.オフショア開発の活用を検討する日本企業の最新動向
- 1.1.企業規模
- 1.2.業種
- 1.3.属性(ベンダー・エンドユーザーの比率
- 1.4.開発案件の依頼内容
- 1.5.契約形態
- 2.【2023年最新版】オフショア開発の委託先として人気の国ランキング
- 3.オフショア開発を発注する理由は?代表的な2つの活用事例
- 3.1.システム開発のリソースを確保するため
- 3.2.開発コストを削減するため
- 4.失敗しないオフショア開発企業の選び方
- 4.1.日本企業との取引・開発案件の実績が多い
- 4.2.エンジニアの技術力・日本語レベルが高い
- 4.3.トラブル発生時に丁寧に対応してくれる
- 5.オフショア開発を発注した日本企業の予算・依頼単価
- 6.まとめ
オフショア開発の活用を検討する日本企業の最新動向
本記事では、オフショア開発ドットコムの発行する「オフショア開発白書2023年版」に掲載されている情報をもとに、オフショア開発の最新動向をまとめました。
まず本章では、2022年中に「オフショア開発.com」に寄せられたオフショア開発案件に関する相談をもとに、オフショア開発の活用を検討する日本企業の最新動向を紹介します。
参考:オフショア開発ドットコム「オフショア開発白書2023年版」
企業規模
2022年にオフショア開発案件に関する相談を行った企業の規模別割合は、以下のとおりです(従業員数)。
- 10名以下:38%
- 11〜50名:16%
- 51〜100名:8%
- 101〜500名:13%
- 501〜1000名:5%
- 1001〜5000:7%
- 5001名以上:14%
2021年度のデータと比較して、特に以下の二つの変化が顕著です。
- 従業員数100名以下の企業の割合が減少している
- 従業員数5001名以上の企業の割合が増加している
従業員数100名以下の企業の比率の減少は、円安によるコスト削減要請の影響が主な原因と思われます。一方、従業員数5001名以上の企業の比率の増加は、近年深刻化しているIT人材の不足が背景にあると見られます。
業種
オフショア開発案件に関する相談を行った企業の業種別割合は、以下のとおりです。
- IT:66%
- メーカー:13%
- サービス:13%
- 卸・小売:3%
- 不動産:2%
- 土木・建設:1%
- 人材:1%
- 物流:1%
- 広告:1%
IT業からの相談件数は前年比で13%増加しており、IT分野においてオフショア活用の検討が加速していることがわかります。
また、IT業界だけでなく、メーカーやサービス業などの他の業種でもオフショアの活用が進行しています。
メーカーではCAD・CAM・CAE解析などの設計開発や組み込み開発での活用が中心ですが、近年は先端技術を用いた開発でもオフショア開発を検討する動きが見られます。
一方、サービス業では、モバイルアプリやサービス系Webシステムなどの開発に関する相談が多く寄せられています。
属性(ベンダー・エンドユーザーの比率
オフショア開発案件のあった企業の属性別割合を見ると、以下のとおりです。
- エンドユーザー:67%
- ベンダー:33%
上記のとおり、エンドユーザー企業が優勢な状況です。多くの企業でリソース不足が大きな課題となっており、オフショア開発が広く一般活用されている状況が見て取れます。
開発案件の依頼内容
オフショア開発案件について具体的な依頼(相談)内容の割合を以下にまとめました。
- Webシステム開発(サービス系):34%
- スマホアプリ開発:16%
- Webシステム開発(業務系):15%
- AI開発:9%
- 基幹システム開発:7%
- VR・AR開発:3%
- オフショア開発拠点設立:3%
- Web制作:3%
- ブロックチェーン開発:3%
- ゲーム開発:2%
- IoT開発:1%
- 設計開発:1%
- 組み込み開発:1%
- 第三者検証・テスト:1%
前年比で上位3位までの順位に変動はなく、その割合もほぼ横ばいとなっています。これらの開発案件において、オフショアの活用が一般化していることがうかがえます。
契約形態
オフショア開発の契約形態別の割合は、以下のとおりです。
- ラボ契約:63%
- 請負契約:37%
ラボ契約の割合は過半数を占め、前年の55%から更に増加していることが見受けられます。
ラボ契約では、発注側が担うマネジメントの役割が大きく、オフショア開発に慣れていない企業ではうまく活用できずにプロジェクトが失敗してしまうケースが珍しくありません。
そのため、近年はまず請負型から着手し、徐々にラボ型に移行していくのがセオリーでした。しかし、近年はラボ契約が増加傾向にあり、オフショア開発の導入・スタート期を終えて継続的な活用が進んでいる状況がわかります。
国内のエンジニアが不足していることも相まって、ラボ契約を締結して、継続的にリソースを確保する意向も見てとれます。
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【2023年最新版】オフショア開発の委託先として人気の国ランキング
2022年におけるオフショア開発検討先の国別割合は以下のとおりです(「指定なし」を除外)。
- ベトナム:48%
- フィリピン:21%
- インド:13%
- バングラデシュ:8%
- 中国:4%
- ミャンマー:4%
- ウクライナ:2%
上記の結果をもとに、オフショア開発の委託先に見られる傾向を解説していきます。
ベトナムに人気が集中している理由
前年に引き続き、2022年もベトナムがオフショア開発国として最も人気が高い結果となっています。理由としては、親日であることや勤勉な国民性、地理的近さ・安価な水準の単価などが挙げられます。
近年、ベトナムでは国家としてIT人材の育成にますます力を入れており、リソースを確保する上で効果的なオフショア開発国として評価されています。また、一部の学校では第二外国語として日本語を扱う取り組みが行われており、国として日本とのビジネスを重要視していることもあり、日本語人材も豊富です。
ベトナムは多くのプロジェクトを受け入れてきた結果、以前は対応できる企業が限られていた基幹システム・AI・ブロックチェーンなどの先端テックやPKG開発などの高度な案件にも対応できる企業が増加しています。これもベトナムが人気を集める理由の一つと言えるでしょう。
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フィリピン・インドのシェアが拡大している背景
前年に比べて特にシェアを拡大させている国が、フィリピンとインドです。背景として、「プロジェクトを英語で進める手法」が注目を集めていることが挙げられます。
従来のオフショア開発では、日本国内とオフショア現地をつなぐ役割としてブリッジSEが配置され、通訳やプロジェクト管理を担当するのが一般的でした。
しかし、近年ではアジャイル開発、リーンスタートアップ、MVP開発などの手法が盛んに採用されるようになり、プロジェクトにおいて頻繁なコミュニケーションが必要とされています。この結果、ブリッジSEの配置を省き、英語で直接エンジニアに指示を出し、開発をスピーディに進行する手法が普及しています。
特にインドのエンジニアはその高い技術力で知られており、その利点を期待してオフショア開発を検討する企業も増えています。
ミャンマー・中国のシェアが縮小している要因
2022年に低迷が目立った国は、ミャンマーと中国です。この要因はカントリーリスクにあると考えられています。
ミャンマーは2021年に発生したクーデターの影響が顕著で、現在も状況は不安定です。しかしながら、有望なオフショア先としてのポテンシャルは確かにあるため、政情の動向を注視しながらオフショア開発先の候補として検討していく必要があるでしょう。
中国も、増大するカントリーリスクが大きな影響を及ぼしています。現在の中国企業の技術力は日本を上回ると評価されています。その結果、サービスの単価が急速に上昇し、日本国内以上の単価となるケースも出てきています。これらのカントリーリスクや単価上昇の影響により、中国からのシフトが全般的なトレンドとなっています。それでも、開発案件の特性によっては中国が最も有望なオフショア先となるケースもあるでしょう。
ミャンマー・中国については、カントリーリスクや単価高騰も踏まえた中長期的な判断が発注検討企業に求められます。
オフショア開発を発注する理由は?代表的な2つの活用事例
「オフショア開発白書2023年版」によれば、オフショア開発を検討する主要な理由や目的は主に以下の2点です。
- システム開発のリソースを確保するため
- 開発コストを削減するため
それぞれ詳しく解説します。
システム開発のリソースを確保するため
長らく、オフショア開発の主たる目的はコスト削減でした。しかし直近の結果を見ると開発リソースの確保がトップになっています。この背景には、国内の人材不足が多くの企業で課題になっていることがあると考えられています。
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開発コストを削減するため
オフショア開発のコストは上昇傾向にありますが、それでも依然としてコスト削減の需要は存在します。
2022年を通じて円安の影響が見られ、これが企業が開発リソースの確保を理由にオフショア開発を選択する一因となっていることも無視できません。
オフショア開発によるコストダウンの具体的な効果については、後ほど詳しく説明します。
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失敗しないオフショア開発企業の選び方
本章では「オフショア開発白書2023年版」にて提示された質問、「御社がオフショア開発企業を選定する際に重要視するポイントは何ですか?」への回答を基に、オフショア開発企業を選択する際の失敗しない3つのポイントをピックアップし、それぞれ詳細に解説します。
日本企業との取引・開発案件の実績が多い
企業がオフショア開発企業を選定する際に最も重視するポイントは、「日本企業との取引実績」であり、次いで「開発実績」が挙げられています。
特に、国内の業務システム開発などは、複雑さと、特定の業界知識や日本の商習慣への理解が必要となるため、これらの要素が求められます。多くの関係者と協調しながら開発を進行させるプロジェクトでは、日本企業との取引や開発の実績を重視することは、発注者として自然な判断と言えるでしょう。
エンジニアの技術力・日本語レベルが高い
続いて回答が集まった「エンジニアの実績やスキルセット」「日本語のレベル」の重視は、ラボ型開発の増加と関連していると考えられます。
ラボ型開発は、自社の開発チームを構築するかのような形態であるため、プロジェクトが成功するためには適切なチーム構成が求められます。そのため、「エンジニアの実績やスキルセット」「日本語のレベル」などのスキルに基づいて企業を選定することの重要性が増しています。
トラブル発生時に丁寧に対応してくれる
オフショア開発には、どうしてもトラブルがつきもので、その際に対応できる担当者がいるかどうかも、企業選定の重要な観点となります。
前述した「実績」は確かに重要ですが、同様のプロジェクトの開発実績があるからといって、その開発が100%成功するとは限りません。実績だけに目を向け、思考を停止してしまうのではなく、リスクヘッジの観点ももってオフショア開発企業を選定することが求められます。
オフショア開発を発注した日本企業の予算・依頼単価
最後に、オフショア開発を発注した日本企業の予算・依頼単価についてご紹介します。下記に、「オフショア開発. com」に寄せられた相談の予算を契約形態別にまとめました。
予算 |
請負 |
ラボ |
〜50万円以下 |
3% |
3% |
51〜100万円 |
6% |
42% |
101〜200万円 |
3% |
26% |
201〜300万円 |
17% |
10% |
301〜500万円 |
11% |
10% |
501〜1000万円 |
19% |
- |
1001〜2000万円 |
11% |
- |
2001〜5000万円 |
3% |
- |
未定 |
28% |
26% |
請負の契約形態における予算では、501〜1000万円の規模の開発がボリュームゾーンとなっています。特筆すべきは、300万円以下の開発は全体の30%以下である点です。かつてのオフショア開発では、「コスト削減」が最重要課題とされていましたが、近年は「リソース確保」の重要性が増しています。
次に、ラボの契約形態を想定している案件の予算です。ラボ契約の場合、月ごとの予算が設定されるケースが一般的です。51〜200万円の予算がボリュームゾーンで、この規模感でのラボ体制が主流となっています。
以前のラボ型開発では「半年以上の契約」や「最低3名以上から契約」といった要件を設けるオフショア開発企業も少なくありませんでしたが、近年はスモールスタートのニーズを受けて、非常に柔軟にラボ型開発に取り組むことができるようなサービスを提供するオフショア開発企業が増えています。
オフショア開発先の人月単価比較【国・職種別】
オフショア開発先の人月単価を国・職種別にまとめました(括弧内は前年比)。
人月単価 |
プログラマー |
シニアエンジニア |
ブリッジSE |
PM |
中国 |
50.51 |
61.79 |
79.29(-6.48%) |
92.14 |
ベトナム |
40.22 |
49.13 |
57.73 |
79.38 |
フィリピン |
35.83(-1.15%) |
53.33(+7.46%) |
81.25 |
70.83 |
ミャンマー |
27.47 |
54.16 |
68.33 |
97.50 |
バングラデシュ |
44.13 |
46.13 |
90.96 (+30.62%) |
58.63 (+27.27%) |
インド |
50.83 |
68.75 |
94.29 |
111.43 |
ほとんどすべての国と職種において人月単価が上昇しており、2022年を通して円安の影響が色濃く反映されていることを示しています。
オフショア開発によるコストダウン効果
オフショア開発を発注した企業に対して、国内と比較した場合のオフショア開発におけるコストダウンの割合について質問を行い、得られた結果を以下にまとめました。
- 10%以下:18.5%
- 11〜20%:25.9%
- 21〜30%:40.7%
- 31〜40%:7.4%
- 41〜50%:7.4%
人月単価が上昇しているにもかかわらず、しかし、
人月単価が上昇しており、コスト削減率は下降傾向にあります。それでも、平均21.5%のコスト削減が達成されているという実情がうかがえます。
まとめ
今回は、オフショア開発ドットコムが発行する「オフショア開発白書2023年版」を元に、オフショア開発を検討する企業にとって特に重要な最新動向などをご紹介しました。
オフショア開発を検討する企業は、現在の最新動向を踏まえ、適切な発注先国を選択することが重要です。その上で、実績豊富な企業から見積もりを取得し、具体的な相談を行うことをおすすめします。
参考:オフショア開発ドットコム「オフショア開発白書2023年版」
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