DXを加速させるローコード開発とは?ビジネス促進も可能!?導入する3つのメリット・ノーコード開発との違いを解説
目次[非表示]
- 1.ローコード開発とは
- 1.1.ノーコード開発との違い
- 1.2.従来のシステム開発との違い
- 2.ローコード開発を導入するメリット
- 2.1.システム開発の生産性向上
- 2.2.技術的ハードルの低下
- 2.3.ユーザー目線に立った高品質な開発の実現
- 3.ローコード開発を導入するデメリット
- 3.1.プラットフォーム・ツール利用による自由度の低下
- 3.2.設計・開発にあたって最低限の知識が必要
- 3.3.開発業務の属人化を招きがち
- 4.ローコード開発によるシステム構築の流れ
- 5.DX推進につながったローコード開発の活用事例
- 5.1.レガシーマイグレーションに向けた活用
- 5.2.システムのサイロ化解消に向けた活用
- 5.3.Notesマイグレーションに向けた活用
- 6.DX推進企業がローコード開発を導入する真の理由
- 7.ローコード開発で「ITの内製化」「開発の民主化」は可能か?
- 8.まとめ
ローコード開発とは
ローコード開発とは、システムやアプリケーションを開発する際に、従来のプログラミング技術ではなく、「GUI(グラフィカルユーザインタフェース)」と呼ばれる視覚的なインターフェースを通じて、ドラッグ&ドロップや設定変更などの簡易操作でアプリケーションの構築を可能とする手法のことです。
また、既存のコンポーネントを使って、ほとんどコードを書くことなく、システムやアプリケーションを作成できる開発プラットフォームをさすこともあります。
ローコード開発により、専門的な開発スキルを持たないビジネスユーザーでも自身のニーズに合わせてアプリケーションを作成することが可能となります。
ノーコード開発との違い
ノーコード開発とは、一切のコードを書くことなくシステムやアプリケーションを開発する手法をさします。
ローコード開発とノーコード開発の主な違いは、その柔軟性と複雑性です。ローコード開発は、ノーコード開発と比べてカスタマイズ性が高く、より複雑なアプリケーションの開発に適しています。
一方、ノーコード開発は、開発スキルをほとんど必要とせず、簡易的な操作だけでアプリケーションを作成できます。
しかし、その反面、カスタマイズの自由度はローコードに比べて制限される場合が多いです。そのためノーコード開発は、機能の拡張がそれほど求められないシステム・アプリケーションの開発に適しています。
従来のシステム開発との違い
従来のシステム開発では、ユーザーのニーズを詳しく聞き出し、それを具体的な要件にまとめてからソフトウェアの設計を行います。そして、設計に基づいてプログラムを書き、テストして修正し、最終的に公開するという流れが一般的です。この全プロセスには、数ヶ月から1年以上もの時間が必要とされます。
しかし、ローコード開発の採用により、このプロセスの時間を大幅に短縮することが可能です。特にプログラミングに要する時間は、数ヶ月から数時間や数日程度にまで短縮されます。
プログラミングがほとんど不要なため、実際にシステム・アプリケーションを利用するユーザー部門のメンバーが開発に関与できます。その結果、ユーザーの要望のヒアリングから要件定義に至る初期段階でも、時間の節約が可能となります。
また、システムが稼働し始めてからも、既定の仕様範囲内であれば変更を加えることが可能です。そのため、現場の声を直接取り入れてシステムを使いやすく改良することもできます。
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ローコード開発を導入するメリット
本章では、ローコード開発を導入するメリットの中から代表的な3つの項目をピックアップし、順番に解説します。
システム開発の生産性向上
ローコード開発は、システム開発にかかる時間を大幅に削減する効果が期待できます。エンジニアにかかる工数を減らすことで、人件費の削減にもつながります。その結果、システム開発の効率と生産性を大幅に向上させられます。
技術的ハードルの低下
通常、システムを開発するためには高度なスキルを持つエンジニアが必要ですが、ローコード開発ではその障壁が大きく下がります。ローコード開発のプラットフォームを利用することで、技術的なハードルを克服することが可能です。
例えば、データベースの作成やHTMLの書き方などの専門的が無くても、システム開発を行えるようになります。
ユーザー目線に立った高品質な開発の実現
従来の開発手法とは異なり、ローコード開発ではエンジニアだけでなくユーザー自身が主体となって開発を進めることも可能です。これにより、開発要件とユーザーニーズとの間にズレが生じにくくなり、ユーザー目線から品質の高いシステム開発を進められます。
またローコード開発では、プログラミングが必要とされる部分が大幅に少なくなるため、開発業務におけるミスが減少します。これにより、バグ修正にかかる時間と費用を削減できるため、高品質な開発を実現する一助となります。
ローコード開発を導入するデメリット
ローコード開発にはメリットだけでなくデメリットもあるため、双方を把握したうえで導入を検討することが大切です。ここでは、ローコード開発を導入するデメリットとして、特に問題となりやすい3つを解説します。
プラットフォーム・ツール利用による自由度の低下
従来の開発手法では、クライアント・ユーザーの細かなニーズに応える形で、一からシステムを開発できました。
一方、ローコード開発は、予め提供されているプラットフォームのコンポーネントを用いてシステムを組み立てる手法です。そのため、各コンポーネントのデザインや機能を自由に変更することが困難な場合があります。
そのため、ユーザーに強いこだわりがある場合や、特殊な機能を必要とするような場合は、期待どおりのシステムを作るのが難しいことがあります。開発内容によっては、従来のプログラミング開発がより適切な場合もあるため、開発手法を選択する際は事前の検討が重要となります。
設計・開発にあたって最低限の知識が必要
ローコード開発は技術的な障壁が低いため、比較的スピーディーにエンジニアを育成できます。ただし、ローコード開発の利点を最大限に活用して高品質なシステムを作るには、使用するプラットフォームについて深く理解し、それを使いこなす能力が必要です。
また、何らかのトラブルが発生した際は、それを解決するための知識・経験が求められます。そのため、社内にプログラミング開発の経験者を確保しておかないと、実際にローコード開発の運用を行うのは困難でしょう。
開発業務の属人化を招きがち
ローコード開発では、直感的な操作でソースコードを追加できますが、裏側でどのようなコードが動いているのかを直接視覚化することが難しいです。
そのため、管理の取り扱いを誤るとシステム内部がブラックボックス化してしまい、「特定の担当者しか操作できない」という属人化の問題を引き起こす可能性があります。
これを避けるためには、以下のような対策が大切です。
- 誰がシステムを管理するか明確に決める
- 設計方法をチーム内で頻繁に共有する
ローコード開発によるシステム構築の流れ
ローコード開発によりシステムを構築する場合も、大まかな流れは通常のウォーターフォール開発と変わりません。ただし、一からプログラムを組むのではなく、GUIを用いて構築するため、工数・期間を短縮できます。
本章では、ローコード開発によるシステム構築の流れを5つのステップで解説します。
①要件定義
システム開発の途中で何をすべきか迷った場合、この要件定義に戻って考えることで、本来達成したい目標に向かって適切な判断を下せるようになります。そのため、ローコード開発においても、要件定義は重要な工程です。
ユーザーの要望を正確に把握し、それをシステムの要件として整理することで、開発プロセス全体の効率化と、最終的な製品の品質向上が期待できます。
②システム設計
システム設計は、基本設計(外部設計)と詳細設計(内部設計)に分かれます。
ローコード開発の場合、基本設計の大部分は開発ツールのメーカーによってすでに行われているので、通常はユーザー側で行う必要はありません。しかし、提供されている機能だけでは不十分な場合や、新たにプログラミングにより機能を追加する必要がある場合、その部分についてユーザー側で基本設計を行います。
詳細設計も同様で、ローコード開発を採用する場合、基本的には詳細設計を省略できます。しかし、プログラミングを用いて新たに機能を追加する場合は、その部分についての詳細設計が必要とされます。
③システム構築
システム設計を踏まえて、各機能を実装していくのがシステム構築です。
ローコード開発では、GUIをメインに用いて、必要な場合のみプログラミングを補助的に用います。
プラットフォームに搭載された機能のパーツをマウスでドラッグ&ドロップして組み合わせたり配置したりして構築を進めます。この操作はGUI上で行います。
ただし、開発プラットフォームにはない機能が必要だったり、他のシステムとの連携が必要だったりする場合は、プログラミングによって構築を行います。
④テスト
システム構築の次は、テストの段階に移ります。
プログラミングによるシステム開発の場合、単体テスト・結合テスト・総合テスト・運用テストという4つのテストを順に行います。しかし、ローコード開発を利用する場合、単体テストと結合テストはベンダー側ですでに実施されているためスキップできます。
総合テストでは、要件定義に書かれた機能がすべて備わっているか、システムの動作速度は適切か、システム全体が問題なく連携して動作するかなどを検証します。
運用テストでは、システムの利便性やユーザビリティなど、ユーザー視点での評価を行います。この段階で、問題なく動作すれば、リリースに移ります。
⑤リリース
テストが無事に完了した後は、システムのリリースに移ります。新たに作ったシステムに既存のシステムを移し替える場合、このステップは「システム移行」とも呼ばれます。
システムのリリース(またはシステム移行)には、主に以下の3つの方法があります。
- 平行移行
- 部分移行
- 一斉移行
どの方法を選択するかは、業務の特性や企業の状況によります。
リリースの段階では、新システムへのスムーズな切り替えが重要となります。予期しないトラブルや情報漏洩などを防ぐため、「本番移行計画書」を作成します。また、リリース後の運用段階で発生可能性のある問題に対処するため、「フォロー計画書」も同時に作成します。
DX推進につながったローコード開発の活用事例
ローコード開発は、DXを推し進める企業を中心に、さまざまな業界・業種で積極的に活用されています。本章では、ローコード開発の活用事例として代表的なものを3つご紹介します。
レガシーマイグレーションに向けた活用
ローコード開発の手法をマイグレーションに活用することで、効率的にシステムの置き換えを進めることが可能となります。
ローコード開発では、スマートフォン向けアプリケーションの開発や既存システムとの連携も容易に実現できます。操作性も高いため、アプリケーション開発に要する時間や費用を大幅に削減することが可能です。
ローコード開発を用いてレガシーマイグレーションを進めることで、新たな市場動向に素早く対応し、システムの開発や運用の効率化が達成できます。
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システムのサイロ化解消に向けた活用
システムのサイロ化を解消する最善の方法は、システムの基盤を一つに統合することです。
その際に便利なのが、ローコード開発ツール「OutSystems」です。
OutSystemsにより基盤を一つに統合することで、ローコード開発の利点をシステム全体で享受できます。仮に統合できないシステムが存在しても、OutSystemsは他の機能とスムーズに連携できるため、システムのサイロ化の再発を防げます。
ローコード開発ツールにより企業全体のシステム基盤を一つに統合すれば、部門間の協力・情報共有がスムーズに行えるようになり、業務改善につながります。
Notesマイグレーションに向けた活用
Notesマイグレーションを図る手法としてローコード開発ツールを使う場合も、OutSystemsが大いに活用できます。
Notesマイグレーションを図る際は、Notesの要件を満たしたツール選定が難しかったり、開発期間が長期化したりなど、多くの課題が立ちはだかります。しかし、OutSystemsの使用によって、これらの課題を解決し、開発の効率を上げることが可能です。
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DX推進企業がローコード開発を導入する真の理由
DXを推進する企業において、業務アプリケーション開発の内製化を図る動きが増えています。その理由は、以下の通りです。
- 自社の業務をよく理解したスタッフが開発に関与することで、コストを抑えつつ、自社のニーズに合致したアプリケーションを必要なタイミングで作り出せるようになる
- 自分たちの意見や提案が業務アプリケーションに反映されることで、スタッフの当事者意識が増す
- スタッフのITに対する興味・理解を高め、DXを進める土壌を作れる
ローコード開発は「開発の民主化」を実現し、社内全体でITを用いた業務改善の意識を高める効果があります。そのため、多くの企業がDXを成功させるための必要な手段として、ローコード開発を活用しています。
ローコード開発で「ITの内製化」「開発の民主化」は可能か?
前述のとおり、ローコード開発を活用すれば、自社のシステム開発を内製化し、開発の民主化を進めることが可能です。
ただし、内製化にはメリット・デメリットがあります。そのため、外注する場合と比較して、自社にとって最適な方法を総合的に選択する必要があるでしょう。
内製化には、企業規模により向き不向きがあります。具体的には、以下の基準で検討することで、自社が内製化と外注のどちらが適しているか判断することが可能です。
- コスト
- 人材(リソース)確保
内製化を進めるか外注するかを決める際、最初に考えるべきはコストです。長期的視点ではコスト削減が見込めるものの、内製化を進める当初には予想外の費用がかかることがあります。特に企業規模が小さい企業では経営に大きなダメージを与えることもあるため、全体のコストをしっかりと理解し、長期的な視点から内製化する場合と外注する場合の費用を比較する必要があります。
次に考えるべきは人材の確保です。特に日本ではITエンジニアが不足しているので、人材の採用が難しい場合があります。ただ人材を採用するだけでなく、社内で育成できる環境が整っているかも重要です。内製化を成功させるためには、人材を採用し、育てられる環境が整っているかをしっかりと確認する必要があります。
まとめ
ローコード開発の導入により、システム開発の生産性向上や技術的ハードルの低下などさまざまなメリットが期待できます。一方で、開発の自由度が制限される可能性があるため、具体的な要件や目的によっては限界がある場合もあります。また、特定の開発ツールやプラットフォームに依存することで業務が属人化しがちになるという問題も考慮する必要があります。
このようなローコード開発の特徴を把握したうえで、自社の規模では内製化と外注のどちらが妥当か検討しましょう。アウトソースを検討する場合は、開発実績が豊富な企業に見積りや具体的な相談を行うことをおすすめします。
DX推進についてのご相談も、ぜひコウェルにお任せください。
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