ラボ型開発と請負型開発の違いは?特徴やメリット・デメリットを解説
目次[非表示]
- 1.リソース確保にはオフショア開発が効果的
- 2.オフショア開発の契約形態と特徴
- 2.1.ラボ型開発(ラボ契約)の特徴
- 2.2.請負型開発(請負契約)の特徴
- 3.ラボ型開発(ラボ契約)と請負型開発(請負契約)の違い
- 4.ラボ型開発(ラボ契約)のメリット
- 4.1.コスト削減につながる
- 4.2.優秀な人材を確保できる
- 4.3.知識や技術の蓄積が可能
- 4.4.仕様変更にも柔軟に対応できる
- 4.5.機密性の高い案件も発注しやすくなる
- 5.ラボ型開発(ラボ契約)のデメリットと対策
- 5.1.チームの人選に時間がかかる
- 5.2.状況次第でコストが多くかかる
- 5.3.発注側の負担が大きい
- 6.ラボ型開発(ラボ契約)に向いている案件・向いていない案件
- 7.国内外のラボ型開発(ラボ契約)の委託先の特徴
- 8.ラボ型開発(ラボ契約)を依頼する際の注意点と成功のポイント
- 8.1.ラボ型開発(ラボ契約)に適しているかを精査する
- 8.2.実績のある人材を選ぶ
- 8.3.コミュニケーションに重点を置く
- 9.まとめ
リソース確保にはオフショア開発が効果的
ソフトウェアやアプリケーションなどの開発を、海外の企業に委託する開発方法を「オフショア開発」といいます。
オフショア開発の特徴は、開発費や人件費が抑えられる点にあります。「開発に必要な人材が足りない。」「安い費用で高い技術力のあるエンジニアを雇いたい。」といったケースに対応できるのがオフショア開発の魅力です。
オフショア開発の契約形態と特徴
オフショア開発には、「ラボ型開発(ラボ契約)」と「請負型開発(請負契約)」があります。以下では、2種類の契約形態の特徴をご紹介します。
ラボ型開発(ラボ契約)の特徴
ラボ型開発(ラボ契約)とは、契約した期日ないでITエンジニアに依頼する形態をいいます。契約期間は半年〜1年ほどが一般的です。
ラボ型開発(ラボ契約)は、自社専用のチームをもてる考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。期間内であれば、仕様や要件を変更しても追加費用も発生しないため、ミスと修正を繰り返す「アジャイル開発」に向いています。
請負型開発(請負契約)の特徴
請負型開発(請負契約)は、開発を海外の企業に委託して行う開発方法です。優秀な人材の揃っている企業を選ぶことができれば、安心して開発を任せることができます。
請負型開発(請負契約)は、要件定義や仕様を決めて、それに合わせて開発を行う「ウォーターフォールモデル」に適しています。
ラボ型開発(ラボ契約)と請負型開発(請負契約)の違い
ラボ型開発(ラボ契約)と請負型開発(請負契約)には、次のような違いがあります。
- ラボ型開発(ラボ契約)には、仕様を変えても対応できる柔軟さがあります。対して請負型開発(請負契約)は、決められた納期で成果品を納品してほしい場合に有効です。
- ラボ型開発(ラボ契約)は、中長期的な開発に適しています。一方、請負型開発(請負契約)は、短期間で開発を依頼したい場合に向いています。
- ラボ型開発(ラボ契約)では、海外のチームとコミュニケーションを取る頻度が多いため、オフショア開発のノウハウが蓄積できます。
- ラボ型開発(ラボ契約)は、低コストで優秀なIT人材を確保しやすいのが魅力です。請負型開発(請負契約)は、コストが把握しやすい反面、追加でコストが発生する場合があります。
ラボ型開発(ラボ契約)と請負型開発(請負契約)の違いをまとめると、次のようになります。
ラボ型開発(ラボ契約) |
請負型開発(請負契約) |
---|---|
|
|
ラボ型開発(ラボ契約)のメリット
ラボ型開発(ラボ契約)には、次のようなメリットがあります。
- コスト削減につながる
- 優秀な人材を確保できる
- 知識や技術の蓄積が可能
- 仕様変更にも柔軟に対応できる
- 機密性の高い案件も発注しやすくなる
以下で詳しく解説します。
コスト削減につながる
ラボ型開発(ラボ契約)は、人件費や開発コストの削減をしやすいのが大きなメリットです。
請負型開発(請負契約)と違い、「どの程度の期間、何人のエンジニアを雇うか」で契約します。契約期間内であれば、追加費用無しで業務を依頼することが可能です。急な仕様の変更にも柔軟に対応できるのが魅力です。
そんなオフショア開発の委託先として、ベトナムやタイ、フィリピンなどの東南アジア諸国が人気です。これらの国は日本と比べて人件費が安いうえに、ITの技術や知識が豊富です。優秀な人材を安く雇えるためコスト削減につながります。
優秀な人材を確保できる
いくら安く人材を雇うことができても、能力が低くては意味がありません。仕様どおりに開発できず、何度も修正を繰り返していてはコスト増になってしまいます。
ラボ型開発(ラボ契約)では、開発を任せられるだけの人材を、中長期的に確保することが可能です。
開発に関わるチーム編成は発注側が行うことになります。優秀な人材であるほど教育の必要がなく、開発速度の向上にもつながります。
知識や技術の蓄積が可能
ラボ型開発(ラボ契約)は、請負型開発(請負契約)と違い海外のチームと一緒に開発を行っていくことになります。コミュニケーションを通して恊働することになるため、オフショア開発で必要な成功例や失敗例など、ノウハウを蓄積することができます。
仕様変更にも柔軟に対応できる
ラボ型開発(ラボ契約)は、仕様や要件が決まっていない状態から開発を始められるのが特徴です。海外のチームと話し合いながら仕様を決めていくことが可能です。開発を進めるうちに、発注側の想定と違っていた場合も、変更や修正を柔軟に行うことが可能です。
機密性の高い案件も発注しやすくなる
ラボ型開発(ラボ契約)を行う際、チームのメンバーは発注側の専属になります。つまり、他社に情報を漏らしづらい環境が作れます。そのため、機密性の高い案件も発注しやすくなるのです。
ラボ型開発(ラボ契約)のデメリットと対策
一見するとメリットしかないように思えるラボ型開発(ラボ契約)ですが、次のようなデメリットもあります。
- チームの人選に時間がかかる
- 状況次第でコストが多くかかる
- 発注側の負担が大きい
以下では、詳しくご紹介します。
チームの人選に時間がかかる
優秀な人材を発注側が選べる点がラボ型開発(ラボ契約)の利点です。ですが、裏を返すと人選に時間がかかるという意味でもあります。
せっかく雇うなら、安心して開発を任せられる優秀な人材を選びたくなるものです。人選に慎重になるのは当然といえるでしょう。対策としては、人選に使う時間を長めに確保しておくことをお勧めします。
状況次第でコストが多くかかる
人件費や開発費を抑えられるのがラボ型開発(ラボ契約)のメリットです。しかし、チームに任せる仕事が少ない場合は、請負型開発(請負契約)よりもコストがかかる恐れもあります。
ラボ型開発(ラボ契約)は、雇ったエンジニアの人数と期間で費用が決まります。つまり契約期間内は、仕事がなくても費用がかかってしまうのです。せっかく優秀なITエンジニアを確保できても、仕事量が少なければ無駄にコストだけが膨れ上がってしまいます。
対策として、雇ったエンジニアを遊ばせておかないだけの仕事量を確保する必要があります。
発注側の負担が大きい
請負型開発(請負契約)の場合、仕様書や要件定義書を渡した後は、委託した会社に任せることになります。
対してラボ型開発(ラボ契約)では、発注側の担当者が開発チームとコミュニケーションを密にとりながら開発を進めていくことになります。
そのため、発注側でコミュニケーションの取れるBrSEの用意が必要です。他にも開発状況などの管理もしなければならないため、発注側の負担も大きくなります。
パートナー開発企業の選び方次第で、これらの問題を解決できます。開発の要は要件定義などの上流工程になります。依頼主の担当者が開発に詳しい方であれば問題ありませんが、設計などの知識が乏しい担当者の場合、失敗を事前に回避することが難しくなります。
そこで、PMなども含め開発に入る前の要件定義などの上流工程も一緒にしてくれる、或いは任せられるパートナー開発企業を選ぶことで負担軽減が可能です。
ラボ型開発(ラボ契約)に向いている案件・向いていない案件
ラボ型開発(ラボ契約)に向いている案件の特徴として、次のようなものが挙げられます。
- 要件や仕様の変更・修正の頻度が多い
- 開発にかかる期間が1年ほどと長め
- 依頼できる案件の数が多い
- システムの運用保守や改修
ラボ型開発(ラボ契約)は、請負型開発(請負契約)に較べて柔軟性に富んでいます。契約期間が1年ほどと長いため、安定した仕事量を確保することができればコスト削減に繋がります。
また、システムやアプリケーションの運用や保守、改修が必要な際にも、ラボ型開発(ラボ契約)は適しています。
一方、次のような案件はラボ型開発(ラボ契約)に向いていません。
- 案件が少数
- 短期間で終わる案件
- 期間内に成果物を納品して欲しい場合
ラボ型開発(ラボ契約)は、人選など準備に時間がかかるのがネックとなります。短期間で終わらせたい、もしくは期間内に成果物を納品してほしい場合には不向きです。また、依頼する案件が少ないと、請負型開発(請負契約)よりもコストがかかる恐れがあります。
国内外のラボ型開発(ラボ契約)の委託先の特徴
ラボ型開発(ラボ契約)の委託先を国内にする場合、成果物の品質はある程度保証されています。言葉が通じるためコミュニケーションの心配もありません。ただし、人件費は国外と比べると高くなる傾向にあります。
一方、委託先を国外とした場合、安い人件費で高い技術力の確保が可能です。例えば、オフショア開発の委託先としてベトナムは人気があります。
日本人と仕事をすることが多いため、日本語を習得している人が多いのです。コミュニケーションがしやすいうえに、勤勉で真面目な人が多いためパートナー企業として申し分ありません。
加えてベトナムは日本よりも人件費が安いこともメリットです。人件費を抑えつつ、能力の高い人材を雇うことが可能なのです。
ラボ型開発(ラボ契約)を依頼する際の注意点と成功のポイント
海外の企業にラボ型開発(ラボ契約)を依頼する際は、次の点に注意しましょう。
- ラボ型開発(ラボ契約)に適しているかを精査する
- 実績のある人材を選ぶ
- コミュニケーションに重点を置く
以下で詳しく解説します。
ラボ型開発(ラボ契約)に適しているかを精査する
「コストが安いから」という理由だけでラボ型開発(ラボ契約)を選ぶのはおすすめしません。ラボ型開発(ラボ契約)は、十分な仕事量を確保できればコスト削減につながります。しかし、案件数が少ない場合、人件費が余分にかかってしまうのです。
オフショア開発を実施する際は、ラボ型開発(ラボ契約)と請負型開発(請負契約)のどちらに適しているか、しっかりと精査しましょう。
実績のある人材を選ぶ
ラボ型開発(ラボ契約)は、発注側が人材を選べる点が最大のメリットです。優秀なITエンジニアと出会えれば、低コストで高品質な開発が行なえます。
そのためには、準備に時間をかけることが必要です。開発期間を気にして人材選びを疎かにするのは、ラボ型開発(ラボ契約)のメリットを失うことにつながります。
人材を確保するまでの流れは、主に以下のようになります。
- オフショア開発を依頼する国と会社を選ぶ
- 開発会社の実績などを確認して決定する
- 履歴書や面接などで人材を選ぶ
- 契約を完了する
- ラボを立ち上げて開発を開始する
ラボ型開発(ラボ契約)で人材を選ぶ場合、どの国の会社に委託するかを選ぶことから始めます。次に、委託先の会社から案件に適した人材を紹介されます。必要であれば履歴書や職務経歴書を求めてもいいでしょう。
次に、人材を選んだらリモートでの面接が行われます。相手のことをよく知りたいのであれば、現地に赴いて面接することになるはずです。このように、基本的に日本で行う募集と大差はありません。
ただし、開発会社によっては発注側で選べない場合もあるため注意してください。開発会社と契約する前に、人材は発注側で選べるのかなどをチェックしておきましょう。
コミュニケーションに重点を置く
ラボ型開発(ラボ契約)は、請負型開発(請負契約)以上に現地スタッフとのコミュニケーションが求められます。仕様の変更点や細かい調整を伝える際に、コミュニケーションを円滑に行えるかで開発の品質が変わってきます。
相手と信頼関係を結ぶためにも、チャットツールなどを活用して定期的にミーティングを開くなど、コミュニケーションに重点を置きましょう。
まとめ
当記事では、ラボ型開発(ラボ契約)について解説しました。ラボ型開発(ラボ契約)は、仕様の変更を柔軟に行える点や、優秀な人材を低コストで確保できるのが大きなメリットです。
しかし、短期間で終わる単発の案件や案件数が少ない場合、請負型開発(請負契約)よりもコストがかかってしまう場合もあります。
- ラボ型開発(ラボ契約)に適しているかを精査する
- 実績のある人材を選ぶ
- コミュニケーションに重点を置く
以上の点に注意し、ラボ型開発(ラボ契約)のメリットを十分に活用しましょう。
ラボ型開発と請負型開発の違い、特徴やメリット・デメリットを紹介してきました。
ラボ型開発では発注者専任のチームを編成し、固定金額で一定期間システム開発を行います。オフショア開発で多く取り入れられている開発法ですが、 請負型開発に比べ柔軟性があり、契約期間内であれば何度でも修正や追加が行える、追加料金が発生しないなど様々なメリットがあります。
ラボ型開発を上手く進めるためには、最適な依頼先を選ぶことも大切です。自社が求めるコミュニケーション力、技術力に対応できる委託先かどうか判断し、確認することが必要です。
コウェルはお客様の課題やご検討状況に応じて、オフショア開発におけるラボ型開発やラボ型によるシステム開発をうまく進めるようご提案やご支援をいたします。システム化・業務改善の提案からインフラ構築、システム開発、ソフトウェアテストサービス、その後の運用・保守までワンストップで対応が可能です。
ソフトウェア開発をご検討されている皆様、ぜひ一度ご相談ください。
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