IT人材不足でエンジニア需要が急上昇|原因と企業がとるべき対策を解説
目次[非表示]
- 1.IT人材の定義や種類
- 2.国内外のIT人材不足の現状
- 2.1.日本のIT人材不足の現状
- 2.2.海外のIT人材不足の現状
- 3.IT人材・エンジニアが不足している3つの理由
- 4.今後もIT人材不足は加速する?
- 5.IT人材不足が深刻な分野・業界
- 5.1.AI・データサイエンス・IoT
- 5.2.産業用・介護用のロボット開発
- 5.3.DX(デジタルトランスフォーメーション)
- 5.4.クラウドサービス開発・ビッグデータ
- 5.5.サーバー・情報のセキュリティ
- 6.企業が取るべきIT人材不足対策
- 6.1.社内でIT人材を教育する
- 6.2.外注(フリーランスや他社委託)を利用する
- 7.まとめ
IT人材の定義や種類
IT人材とは、IT(情報技術)に関する知識・スキルを持つ人材のことです。ソフトウェア開発・システム運用や管理・データ分析・ネットワーク構築などの分野におけるITエンジニアだけでなく、ITに関してある程度のリテラシーがあり、それをマーケティングや商品開発などのビジネスに活用している人材も含まれます。
IT人材は、大まかに以下3つの種類に分けられます。ここからは、それぞれの概要を順番に詳しく解説します。
従来型IT人材
従来型IT人材とは、一般的に基本的なITスキル・知識を有し、既存の領域で専門性をもつ人材を指します。プログラミング・ネットワーク管理・システムエンジニアリング・データベース管理などの職種が該当します。
経産省が発表した資料では、「従来からのIT需要に対応するIT人材」を従来型IT人材と定義しています。
参考:みずほ情報総研株式会社「IT 人材需給に関する調査 -調査報告書」
高度IT人材
高度IT人材とは、従来のITスキルに加えて、最先端のテクノロジーや新しい技術トレンドに精通し、それらを戦略的にビジネスに活用できる人材のことです。
一般的なITツールを操作できるだけでなく、さらにそれらを別のサービスやソリューションと組み合わせて、全く新しい商品やサービスを創造する力が求められます。また、新しいビジネス戦略を明確に理解し、それをチームメンバーや関係者にわかりやすく提案できるスキルも必要不可欠です。
先端IT人材
先端IT人材とは、AI・ビッグデータ・IoTなどの先進技術を活用する人材のことです。ただ技術を使えるだけでなく、その技術を活用して価値を創出したり、革新的な方法で効率を向上させたりする能力をもつ人々が、先端IT人材と定義されます。
例えば、AIを使ってデータを解析して新たなビジネスチャンスを発見したり、IoTを活用して生産性を高めたりする人々が、先端IT人材に該当します。
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国内外のIT人材不足の現状
本章では、IT人材不足の現状について、日本と海外に分けて順番に解説します。
日本のIT人材不足の現状
経済産業省の発表した資料によると、2019年3月時点のデータ(2015年の国勢調査をもとにした推定)では、日本国内のIT人材は約17万人不足しているとのことです。
さらに、2023年におけるIT人材の不足は約37万人にまで増加すると予測されています(中位シナリオを基にした推定)。
このように、日本国内でもIT人材の不足は深刻な課題となっており、対策の構築が求められています。
参考:みずほ情報総研株式会社「IT 人材需給に関する調査 -調査報告書」
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海外のIT人材不足の現状
IT人材の不足は日本だけでなく、世界的な問題となっています。特にGoogleやAmazonといった大手IT企業が存在する地域では、ITシステムに対する需要が増大しています。しかし、この高まる需要に対して、IT人材の供給が追いつかない状況が続いています。
例えば、ITの一分野であるサイバーセキュリティの人材については、全世界で約343万人のサイバーセキュリティ専門の人材が不足していると報告されています。
地域別に見ると、北米では43万人、中南米では51万人、欧州・中東・アフリカでは31万人、そしてアジア太平洋地域では216万人のサイバーセキュリティの専門家が不足しているとのことです。
このデータはサイバーセキュリティ専門の人材に限定したものですので、全てのIT人材の不足状況を示すものではありません。しかし、調査結果からも、世界中でIT人材が大量に必要とされているという事実は明らかです。
参考:(ISC)2「CYBERSECURITY WORKFORCE STUDY 2022」
IT人材・エンジニアが不足している3つの理由
本章では、エンジニアをはじめとするIT人材が不足している理由として代表的なものを3つピックアップし、順番に解説します。
①AI・IoT分野の発展で市場が急拡大しているため
インターネットの普及、AIやIoTの進化、DX)の推進、5Gの導入、働き方改革など、多くの要素が絡み合い、世界的にIT市場は急速に拡大しています。
AIやIoTの発展により、農業、林業、漁業など、一見ITと関連が薄いと思われる一次産業でもITツールが必須となり、ITの利用範囲を大幅に拡大させています。
情報処理推進機構(IPA)の2020年度の調査によると、DXに取り組む企業は全体で53.2%に上り、前年度の41.2%から約10ポイント増となりました。特に中小企業において、DXの取り組みが増えています。
これらの要素が結びつくことで、様々な産業でITの需要が高まり、どのようなビジネス現場でもIT人材が必要とされています。
参考:情報処理推進機構「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書」
②IT人材の高齢化・労働人口の減少が起きているため
日本のIT人材の高齢化とともに、人口減少と少子高齢化の進行も、IT人材不足の一因です。
みずほ情報総研の資料によると、IT人材の高齢化が進んでいることがわかります。年齢別のIT人材の分布を見ると、2015年では35~39歳の割合が最も高いですが、2020年には40~44歳の割合が最も高くなり、30~34歳の割合が11.2%まで低下しました。さらに、50~54歳の割合が11.7%、55歳~59歳の割合が8%を超えています。
2030年には、新卒者がIT分野に流入することにより、25~29歳と30~34歳の割合が増えることが期待されていますが、同時に50~54歳の割合も高くなると予測されています。
また、少子高齢化が進む日本では、全体の人口が減り続けています。総務省統計局によると、2023年(令和5年)4月1日現在、日本の総人口は1億2447万人で、前年同月に比べて60万人減少しています(概算値)。
人口減少によって労働力となる人々が減っており、IT人材を確保することが難しくなっている状況です。特に急速に拡大しているIT業界では、市場の成長速度が労働力の供給を上回る形となっており、深刻なIT人材不足につながっています。
参考:みずほ情報総研「- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書」(2019年3月)
総務省統計局「人口推計(令和4年(2022年)11月確定値、令和5年(2023年)4月概算値)(2023年4月20日公表)」
③専門性が高く即戦力となるまでに多くの時間が必要なため
高度IT人材や先端IT人材として活躍するには、多くの知識・技術・豊富な経験が必要です。たとえば、コンピューターサイエンスの知識やプログラミング能力・クライアントとのコミュニケーションスキルを養うことなどが求められます。
これらの全てを習得するためには、実際の業務で経験を積むことが必要ですが、経験を十分に積むためには、長い時間が必要となります。結果、即戦力となるIT人材の供給が需要に追いつかない状況が生じ、IT人材不足が深刻化しています。
今後もIT人材不足は加速する?
前章で解説した理由によって、日本では今後もIT人材不足が加速するものと見られています。経済産業省の資料によると、2030年には40~80万人の規模でIT人材の不足が生じる懸念があるとのことです。
低位シナリオでは約41万人、中位シナリオでは約59万人、最大で約79万人のIT人材不足が起こることが予想されています。
IT人材不足が深刻な分野・業界
続いて、IT人材不足が特に深刻な分野・業界を5つの項目に分けて、順番に解説します。
AI・データサイエンス・IoT
AI・データサイエンス・IoTは、いずれも近年、需要が急速に高まっている分野です。
AIは医療から自動車まで、多くの業界で活用され始めています。AIを搭載したロボットに一部の業務を任せることは、労働人口の減少が課題となっている日本にとって、非常に重要な意義を持っています。
また、AIやクラウドを用いて大量のデータを収集・分析するデータサイエンスは、企業がより良い意思決定を行うために活用されています。しかしながら、これらの分野で働くためには高度なスキルが必要であることから、十分な数のIT人材が育成されていないという状況が生じています。
さらに、最近ではIoT分野の進歩により、自宅のエアコンや監視カメラなどを外出先からスマートフォンで操作することが可能になるなど、スマート家電としての利用が広がっています。しかしながら、IoT技術自体の歴史は短く、専門家を育成するための時間と労力がまだ十分に投じられていないため、IoT分野でもIT人材不足が問題となっています。
産業用・介護用のロボット開発
日本では少子高齢化による働き手の減少に対応するため、さまざまな場所でロボットの利用が増えています。
例えば、製造業で働く工業用ロボットや高齢者をサポートする介護ロボットなどが開発され、現場で活用されています。
これらのロボットは今後の役割はさらに重要になると考えられており、ロボットを開発・運用するエンジニアの需要も高まっています。高まる需要に対して、ロボット関連のエンジニアの供給が間に合っていないのが現状です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
政府はDX推進についての方針を示しており、今後さらに多くの企業がこの取り組みを進めることが予想されています。しかし、需要の増加に対応するIT人材の育成が追いついておらず、人材不足が問題となっています。
情報通信白書(令和3年版)によると、DX推進にあたって不足している人材として「DXの主導者」を挙げている企業は7割を超えています。
クラウドサービス開発・ビッグデータ
クラウドサービスを使う企業の数は、年々増加しています。今後もこの流れは続き、IT技術をビジネスに取り入れる企業がますます増えることが見込まれます。それに伴い、クラウドサービスの開発に詳しいエンジニアの役割が重要性を増しています。
また、企業の情報がデジタルフォーマットに変換されることが増えており、ビッグデータの利用も各業界で行われています。このような背景から、データサイエンティストの需要が増え、人材不足問題が顕在化しています。
サーバー・情報のセキュリティ
近年、IT技術の進歩とともに、情報の漏えいや不正アクセスといったセキュリティ問題も増えてきています。情報の漏えいが起きれば、企業にとって大きな損失に繋がることは避けられません。
さまざまな業界でインターネットの使用が広がる中、セキュリティに精通したエンジニアの需要は今後も増えることが予想されます。
企業が取るべきIT人材不足対策
最後に、IT人材不足を解消するために企業が取るべき対策を2つの観点から解説します。
社内でIT人材を教育する
IT人材を自社で育成すると、社員のスキルレベルが向上します。各社員がITに関連した技術を理解し適切に使えるようになることで、業務の進行がスムーズになり、業務効率や生産性が向上するでしょう。また、社員のモチベーションを高めて、働きがいを与えることにもつながります。
しかし、外注に比べると、自社での人材育成は多くの時間・労力を必要とします。「指導能力を持つ人がいない」「ITに関する知識が足りない」といった問題が生じるおそれもあるでしょう。
外注(フリーランスや他社委託)を利用する
外注によりIT人材を確保すると、企業は主要な業務により集中できるようになります。多くのアウトソーシング企業が専門的なIT人材を保有しており、最新の技術やシステムの迅速な導入が可能です。
しかし、外部に頼ることで自社内の技術や専門知識が蓄積しにくくなる点には注意が必要です。
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まとめ
AIやIoT分野の急速な発展、高齢化社会に伴う労働力の減少、そして専門性の高さといった要因により、IT人材不足は深刻な問題となっています。この問題の解決策として有効なのが、社内教育によるIT人材の育成や、外部の専門企業へのアウトソーシングです。
企業には、自社におけるIT人材不足の現状を把握し、それに対する適切な対策を練ることが求められています。もしアウトソーシングを検討するのであれば、開発実績が豊富な企業に見積もりの依頼や具体的な相談を行うことが望ましいでしょう。
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