オフショア開発が抱える課題とは?取り組むべき問題点と7つの解決策
目次[非表示]
- 1.オフショア開発とは
- 2.オフショア開発が注目されている3つの理由
- 2.1.①人件費の削減につながる
- 2.2.②人材不足の解消に効果的
- 2.3.③品質の高い成果物が期待できる
- 3.オフショア開発が抱える8つの問題点
- 3.1.1.コスト削減につながらない
- 3.2.2.エンジニアの質に差がある
- 3.3.3.コミュニケーションが取りづらい
- 3.4.4.人材が定着せず頻繁に交代する
- 3.5.5.品質の低下や品質の維持ができない
- 3.6.6.日本と海外でOKの定義が異なる
- 3.7.7.開発がブラックボックス化しがち
- 3.8.8.成果物が納期に間に合わない
- 4.オフショア開発で取り組むべき課題と解決策
- 4.1.オフショア開発の課題ー1.コスト削減
- 4.1.1.解決策1-1.人件費以外のコストを明確にする
- 4.1.2.解決策1-2.予算を多めに確保しておく
- 4.2.オフショア開発の課題ー2.人材の確保
- 4.2.1.解決策2-1.ラボ型開発で専属の人材を確保する
- 4.3.オフショア開発の課題ー3.国民性の理解
- 4.3.1.解決策3-1.日本との文化の違いを理解する
- 4.3.2.解決策3-2.開発の日程に余裕を持たせる
- 4.4.オフショア開発の課題ー4.品質の維持・向上
- 4.4.1.解決策4-1.仕様や要件をわかりやすく指示する
- 4.4.2.解決策4-2.進捗状況を頻繁に確認する
- 4.5.オフショア開発の課題ー5.コミュニケーションの活性化
- 4.5.1.解決策5-1.コミュニケーションの取りやすい国を選ぶ
- 4.5.2.解決策5-2.わかりやすい表現や言葉選びをする
- 5.課題を作らないためのオフショア開発の導入方法
- 5.1.案件の仕様や要件は明確に決めておく
- 5.2.委託国や企業を決める前に実績を確認する
- 5.3.案件に合わせて請負型とラボ型開発を選択する
- 5.4.連絡や進捗状況の取り方を事前に決める
- 6.まとめ
オフショア開発とは
「オフショア開発」とは、ソフトウェアやWebシステム、アプリなどの開発・運用・保守管理を、海外企業に委託することを言います。
オフショア開発には、仕様や要件を開発会社に伝えて開発を委託する「請負型」と、専属のチームを編成して開発を行う「ラボ型」の2種類があります。
▼オフショア開発は、こちらを参考にしてみてください。
→【2022年最新版】IT業界のオフショア開発とは
オフショア開発が注目されている3つの理由
ソフトウェア開発やアプリ開発、それらの運用・保守といった業務を海外の企業に委託するのには、次のような理由があります。
- 人件費の削減につながる
- 人材不足の解消に効果的
- 品質の高い成果物が期待できる
以下では、オフショア開発が注目されている理由を詳しく解説します。
①人件費の削減につながる
人件費等のコスト削減につながる点が、オフショア開発を行う理由のひとつです。日本国内でソフトウェア開発などを行う場合、SEやプログラマーのレベルに応じて次のような人件費がかかります。
技術者レベル |
人月単価の相場 |
---|---|
初級レベル |
60万円~100万円 |
中級レベル |
80万円~120万円 |
上級レベル |
100万円~160万円 |
初級レベルでも一人あたり月60万円以上、チームリーダーやプロジェクトマネージャーもこなせる中・上級レベルになると100万円を超えます。
例えば、初級レベルのSE・プログラマー3人を3か月雇ったとすると、人件費だけで180万円もかかることになります。これに中・上級レベルのSEやプログラマを雇い入れると、人件費だけでも相当な額になるでしょう。
一方、海外でエンジニアを雇った場合、人件費の相場は次のようになります。
委託国 |
人月単価の相場 |
---|---|
ベトナム |
31万~57万円 |
フィリピン |
36万~65万円 |
中国 |
42万~85万円 |
日本国内と比べると、一人あたりの人件費を半分以下に抑えることが可能です。システム開発の8割以上は人件費と言われているため、オフショア開発を行うことで大幅なコスト削減が見込めます。
②人材不足の解消に効果的
オフショア開発が注目されているもうひとつの理由が、人材の確保が容易という点です。日本国内では、エンジニアの質は良いものの人材の数が圧倒的に不足しています。IT人材の需要は高まっているのに対して、供給が間に合っていないことが人件費の高騰につながっています。
そんな人材不足を解消する方法として、オフショア開発は重宝されています。海外の開発会社に委託することで、日本と同等かそれ以上の技術や知識を持った優秀なエンジニアを必要なだけ雇うことが可能です。
③品質の高い成果物が期待できる
海外は国内と比べると人件費は安くなりますが、「安かろう悪かろう」にならないか不安を感じる人もいるはずです。
実績のある海外の開発会社であれば、システム開発やアプリ開発、運用・保守に関するノウハウを保有しています。加えて優秀なエンジニアも多数抱えているため、高品質な成果物が期待できます。
▶︎オフショア開発に興味のある方は、こちらも参考にしてみてください。
→最新)オフショア開発のメリット・デメリットと注意点まとめ
オフショア開発が抱える8つの問題点
人材の確保やコスト削減に有効なオフショア開発ですが、実際には次のような問題点も抱えています。
- 思っていたよりコスト削減につながらない
- 会社選びを間違えたため能力の低いエンジニアを選んでしまった
- ニュアンスで説明をすると意図が明確に伝わらない
- 人材が定着しづらく引き継ぎなどに時間と労力がかかる
- 翻訳過程での認識違いが品質の低下を招く
- 日本と海外でOKの定義が異なる
- 開発がブラックボックス化することで進捗状況などが把握できなくなる
- 国民性の違いなどから成果物が納期に間に合わない
以下ではオフショア開発の問題点を解説します。
1.コスト削減につながらない
コスト削減のためにオフショア開発を選択したはずが、余計にコストがかかることもあります。例えば、「品質が低く修正、やり直しが必要になった」「スケジュール管理ができず、納期遅延でコストが増えた」「通訳や現地スタッフの手配にコストがかかった」「為替変動や政治不安でが最終的にコストが高くなった」など、人件費以外でコストが発生するケースも散見されます。
2.エンジニアの質に差がある
人件費を抑えることができるオフショア開発は、コスト削減に効果的です。
しかし、「人件費だけで会社を選んだらエンジニアの質が悪かった」「オフショア開発のノウハウがない会社に委託したため満足のいく成果物ができない」など、オフショア開発を委託する開発会社を間違えると、望んだ結果を得られない可能性が高いのです。
3.コミュニケーションが取りづらい
日本では「判断は任せる」「良い具合にやっておいて」「言わなくても分かってるよね」など、説明を省いても、ある程度意図は伝わります。
しかし、海外では日本のように曖昧な表現をすると、自分たちの好きなように行ってもいいと捉えられてしまいます。情報伝達不足や誤情報を伝えてしまうことで、コミュニケーションエラーを引き起こしやすくなります。
4.人材が定着せず頻繁に交代する
「委託先のエンジニアの入れ替わりが激しく、担当者がしょっちゅう変わる」「1年でエンジニアが辞めてしまった」など、海外では自身のキャリアアップに繋がるのであれば積極的に転職します。
人材が会社に定着しないことで「人が変わる度に人間関係の構築や内容説明などする必要がある」といった問題が発生します。
5.品質の低下や品質の維持ができない
オフショア開発では基本的に、日本側で定めた要件をオフショア開発先にも分かる言語に翻訳してから現地で開発を行います。
日本で作成した要件に曖昧・不明瞭な部分があると「日本と同じ感覚で伝えたら仕様と違う成果物ができた」「仕様や要件が正確に翻訳されず必要な箇所が伝わっていない」といった事態を引き起こします。
翻訳や解釈を間違ったまま開発に進んでしまうと、実装段階で不具合が生じてしまい品質低下を招いてしまいます。
6.日本と海外でOKの定義が異なる
日本と海外では考え方に違いがあります。日本では「ここはもう少し手を加えたほうが良いかも」「もっと細かい修正が必要だ」と判断されることでも、海外ではOKとすることも少なくありません。特に要件や仕様を曖昧なままに伝えると、この傾向が顕著に現れます。
7.開発がブラックボックス化しがち
開発会社に開発を丸投げすると、成果物の中身がブラックボックス化しがちです。ブラックボックス化することで「進捗状況や工程、品質の状態が掴めない」といった状況になります。
その結果、テスト段階になって「必要な機能が未実装」など、仕様や要件から大きく外れていることが判明するというのは、オフショア開発におけるありがちな失敗事例です。
8.成果物が納期に間に合わない
日本と海外では考え方や習慣、国民性が違います。「仕事よりも家庭が大事」「休日は仕事をせずに家族と過ごしたい」と考えるのが当たり前な国もあります。
このような国民性を理解しないで開発を委託した結果、スケジュール通りに作業が進まずに、成果物が納期内に納品されないケースも少なくありません。
オフショア開発で取り組むべき課題と解決策
オフショア開発が抱えている問題点を解消するために、取り組むべき課題と解決策をご紹介します。
- オフショア開発の課題ー1.コスト削減
- オフショア開発の課題ー2.人材の確保
- オフショア開発の課題ー3.国民性の理解
- オフショア開発の課題ー4.品質の維持・向上
- オフショア開発の課題ー5.コミュニケーションの活性化
以下で詳しく解説します。
オフショア開発の課題ー1.コスト削減
オフショア開発はコスト削減に効果的ですが、人件費ばかりを重視しているとかえってコストが増加します。人件費を抑えつつ、全体的なコスト削減を行うことが課題となります。
解決策1-1.人件費以外のコストを明確にする
オフショア開発では、人件費以外にもさまざまな面でコストがかかります。人件費が抑えられても、他の部分でコストが増えては意味がありません。そこで、支出の洗い出しを行い、人件費以外のコストを明確にする必要があります。
解決策1-2.予算を多めに確保しておく
海外の開発会社に委託する以上、全て予定通りにとはなりません。納期が遅れたり、修正が発生することも十分に考えられます。突発的なトラブルに対応するためにも、予算は多めに確保しておきましょう。
オフショア開発の課題ー2.人材の確保
人材が会社に定着しづらく、頻繁に交代することで開発にも影響が出てしまいます。そこで、優秀な人材を長期間確保することが課題となります。
解決策2-1.ラボ型開発で専属の人材を確保する
オフショア開発には「請負型」と「ラボ型」の2種類があります。請負型は開発を委託した会社に任せられる反面、人材の管理をすることは困難です。一方、ラボ型開発は自社で選んだ人材と長期間契約することになります。契約期間中は、優秀な人材を専属のチームとして確保しておくことが可能です。
オフショア開発の課題ー3.国民性の理解
日本と委託国では考え方や生活様式に大きな違いがあります。それを理解しないままで開発を委託すると、トラブルなどを引き起こす原因となります。そこで、国民性の違いから発生する失敗を回避することが課題となります。
解決策3-1.日本との文化の違いを理解する
まずは、日本と考え方が全く違うということを理解する必要があります。日本では当たり前のことでも、委託国によっては非常識と取られる場合もあります。
例えば、
- 休日が多く残業せずに定時で退勤するのが当たり前
- 1日のうちに長時間の休憩時間が設けられている
- 仕事よりも家族を重視し、納期を気にしない
このような国民性を理解することで、納期の遅れなどトラブルを回避することが可能となります。
解決策3-2.開発の日程に余裕を持たせる
システム開発を委託したものの、納期内に成果物が出てこないことも少なくありません。このようなトラブルを回避するためにも、開発のスケジュールには余裕を持たせましょう。
オフショア開発の課題ー4.品質の維持・向上
人件費が抑えられても、成果物の品質が低くては本末転倒です。コストを削減しつつ、成果物の品質を維持、もしくは品質を向上させることが課題となります。
解決策4-1.仕様や要件をわかりやすく指示する
日本人同士であれば、曖昧な表現をしてもなんとなく伝わります。言われなくても相手の意志を汲み取ることは難しいことではありません。
しかし、言葉も通じず、考え方も違う海外ではそうはいきません。仕様や要件を曖昧に伝えた結果、成果物が仕様通りにできないことも少なくないのです。
そこで、開発を委託する際は細かいところまで仕様や要件を明確にし、分かりやすく指示することを心がけましょう。
解決策4-2.進捗状況を頻繁に確認する
開発会社に開発を丸投げすると、進捗状況が把握できずブラックボックス化します。そこで、ブリッジSEなどと頻繁に連絡を取り合い、進捗状況の確認を行いましょう。
オフショア開発の課題ー5.コミュニケーションの活性化
海外の開発企業とは、コミュニケーションが取りづらい問題を抱えています。開発をブラックボックス化させないためにも、コミュニケーションの活性化や取り方を工夫することが課題となります。
解決策5-1.コミュニケーションの取りやすい国を選ぶ
オフショア開発では、コミュニケーションが取りづらいといった問題を抱えています。これを解消する方法として、日本語が通じる国の開発会社に委託するのが良いでしょう。
解決策5-2.わかりやすい表現や言葉選びをする
言葉の通じづらい海外の技術者とコミュニケーションを取る際は、わかりやすい表現や言葉選びをする必要があります。日本人同士であれば曖昧な表現でもある程度は通じますが、国外の人には理解されずに誤解されることも少なくありません。相手に伝わりやすいように、言葉や表現には注意を払う必要があります。
課題を作らないためのオフショア開発の導入方法
オフショア開発は、コスト削減や人材確保といったメリットがある一方、さまざまな問題点を抱えています。ですが、以下の項目に気を配ることで問題点や課題を作らずに済みます。
- 案件の仕様や要件は明確に決めておく
- 委託国や企業を決める前に実績を確認する
- 案件に合わせて請負型とラボ型開発を選択する
- 連絡や進捗状況の取り方を事前に決める
詳しく解説します。
案件の仕様や要件は明確に決めておく
曖昧な表現はミスを誘発する大きな原因となります。これを回避するために、案件の仕様や要件には曖昧な部分を残さないこと、技術者が勝手な判断で独自のコードなどを使うことがないようにルールを決めておくことが重要です。
委託国や企業を決める前に実績を確認する
開発を委託する会社を決める際は、まずは実績を確認しましょう。これまでどのような開発を行ってきたかをチェックすることで、会社の得意分野や不得意分野を知ることができます。
加えて、成果物の品質を予め予測することも可能です。いくら人件費を抑えられても、成果物が低品質では意味がありません。
実績がある会社であればノウハウもあるため、成果物の品質も良いものになるでしょう。一方、実績のない会社では品質の良し悪しの予測ができません。
無駄なリスクを回避するために、必ず委託する会社の実績は確認しておきましょう。
案件に合わせて請負型とラボ型開発を選択する
案件が単発で、決められた納期内で成果物を納品してほしい場合は請負型がベストです。対して、中・長期的に同じメンバーで開発を行いたいのであればラボ型が向いています。このように、案件に合わせて請負型とラボ型を選択すると良いでしょう。
連絡や進捗状況の取り方を事前に決める
オフショア開発では、とにかくコミュニケーションが重要となります。開発が始まってから、バタバタと連絡方法を決めようとしても、お互いに時間が作れない可能性もあります。そこで、比較的時間に余裕のある初期段階で、連絡を取る方法や使用するツール、どのようなタイミングで報告してもらうかなどを決めておきましょう。
▶︎さらに詳しいオフショア開発情報は、こちらも参考にしてみてください。
→オフショア開発の失敗例から学ぶ成功するための8つのポイント
まとめ
当記事では、オフショア開発の課題や問題点の解決策についてご紹介しました。オフショア開発は、コスト削減や人材確保を効果的にできる反面、次のような問題点もあります。
- 思っていたよりコスト削減につながらない
- 会社選びを間違えたため能力の低いエンジニアを選んでしまった
- ニュアンスで説明をすると意図が明確に伝わらない
- 人材が定着しづらく引き継ぎなどに時間と労力がかかる
- 翻訳過程での認識違いが品質の低下を招く
- 日本と海外でOKの定義が異なる
- 開発がブラックボックス化することで進捗状況などが把握できなくなる
- 国民性の違いなどから成果物が納期に間に合わない
これらの問題を解決するために、以下のような課題や解決策に取り組む必要があります。
- オフショア開発の課題ー1.コスト削減
- オフショア開発の課題ー2.人材の確保
- オフショア開発の課題ー3.国民性の理解
- オフショア開発の課題ー4.品質の維持・向上
- オフショア開発の課題ー5.コミュニケーションの活性化
オフショア開発の問題点を把握して課題を作らない導入方法を取ることで、失敗を未然に防ぐことが可能となります。
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▼オフショア開発については、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→【2022年最新版】IT業界のオフショア開発とは